冷酷王太子はじゃじゃ馬な花嫁を手なずけたい
喉の痛みは随分よくなっている。
それにガラガラではあったけれど、発声できたような……。


「リリアーヌ、起きたのか?」


すると彼は私が身じろぎしたのに気づき、目を開けた。
アリアナの言っていたように“裸”ではなかったものの、それに一歩近づいた気がする。


「おはようござ……」

「声が出るのか?」


王太子さまは私の声が出ることに気づくと、飛び起きて目を瞠った。


「はい」


別人のような声だけど、これでコミュニケーションはとれるかもしれない。


「医者は、あと十日はかかるといっていたのに。さすが、じゃじゃ馬だ」


それって褒めてくれてるの?


「痛みは?」

「まだ、痛いです。体が動かないんです……」

「それはずっと眠っていて、体を動かさなかったせいもあるな」


ずっと?
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