愛してるって意味

待ち合わせた店に着くと時間はギリギリ。


｢遅くなってごめんなさい！｣


案内された席には茉莉花の他に私の呑み友達の安城桜と美代結奈がいた。
そして向かいの席には男の人が3人。


｢あれ？3人？｣


私が首を傾げるとすぐ後ろで息をきらせた男性の声が聞こえた。


｢ごめん！遅くなった！｣


そういう彼は155cmの私が見上げるほどの身長でお世辞にもイケメンといえる人じゃないが、なんとなく大人の男性の色気を感じさせる人だった。


｢遅いよ和臣さん！｣
｢わりぃわりぃ｣


すまないというポーズをしながら席につく。
そして私も彼の前の席に座り、合コンが始まった。


｢じゃあ改めて自己紹介を！俺は…｣


と徐々に端から自己紹介がはじまる。そしてさっきの彼の番が回ってきた。


｢俺は佐伯和臣、介護の仕事をしています。歳は35です。｣


不意に私の方を見てはにかむ彼。

"ドキッ"

そのあまりに突然な微笑みに私は不覚にもときめいてしまった。

女子側の自己紹介も始まり、私の番が回ってくる。


｢田坂杏子です。仕事は漫画編集をしています。よろしくお願いします。｣


こうして他愛もない話が始まった。

しかし、茉莉花たち3人は女の子らしくて私は居づらさを感じていた。

ふと時計を見るとまだ１時間くらいしか経っていない。

私は席を立ってトイレへ向かった。


｢はぁ…やっぱり私合コン向いてないかも。｣


ため息を着いてトイレを出るとそこには佐伯がいた。


｢佐伯さん？！｣


驚きのあまり声が裏返ってしまう。


｢驚かせてごめんね。いや、ちょっと若い子の話題についていけなくてね…｣


困った顔をして後頭部をわしゃわしゃとかく。


｢田坂さんも居づらそうだったからなんか親近感湧いちゃってね、…よかったら2人で呑みなおさない？｣

｢え…私顔に出てました…？｣

｢いや、みんなは分かってないと思うよ？｣

そう言って微笑む彼。
顔がいいわけでもないのに、何故かその瞳からは目を離せなくなる。


そうして、2人で抜け出して向かったのは個室居酒屋。

正直以外だったが、おそらく彼の事だろう。私の本心を見抜いて人目があまりつかないところにしてくれたんだろう。


｢田坂さん、もうみんないないし楽にしていいよ？なんか窮屈そうだったし｣

｢あ、ありがとうございます…｣


私はヒールを脱ぎ、お絞りで口紅をとって生ビールを飲んだ。


｢っぷはぁ～美味しい！｣


私ののみっぷりを見て佐伯さんは笑い始める。


｢やっぱり想像したとおり、田坂さんには生き生きとしている方が似合ってるね。｣

｢女の子らしくないでしょ？｣


皮肉を交えて答える。しかし彼はそんな私の目をまっすぐ見ながら答えた。


｢いや、俺はこの方が居やすいよ。それに素の女の子の方が俺は好きだよ｣

｢また上手いですね大人の男性は笑｣

｢おじさんで悪かったね。笑｣


それから2時間程たっただろうか、酔いが回り始めると私は過去の恋愛について話始めていた。