キミゾラ
プロローグ-幼心と夢-
それは、遡る事十年前。物心ついた時代に生まれた少年がいる。常に目を細め、世間をひっそりと見つめるその瞳の持ち主。


月村恭(ツキムラ・キョウ)。月村家の長男であり、一番大切にされている存在という事になる。


しかし恭自身の性格は、当時からねじ曲がっていた。5歳の代でありながら、空を見つめて一言告げる。


「ボクってなんてちっぽけなんだろう」


片言でありながらも、その一言は確かに彼の親を身震いさせた。それも、一度ならず度々似た発言をする事から、彼の母はいつも悩んでいた。父も当然のように頭を抱えていた。
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