星の涙

こういう時、わたしはどうすればいい?

えれなを待っててもしょうがないかな。告白がうまくいって、幸せなふたりの邪魔をするような、そんな野暮なことはしちゃいけない。先に帰ったほうがいいかな。

そうだ、帰ろう。先に帰るねってLINEしておけばいいんだ! と、スマホを取り出したけれど、もしいい雰囲気のときにスマホが鳴ったりしたら申し訳ないと思って、LINEを送るのもためらった。

どうしようどうしようと、悩んでいたら、とうとう遠くの雲の奥でごろごろと音が鳴りだした。時々、ぴかっと光るのも見えた。ぽつぽつと雨が降りだし、あっという間にどしゃぶりになる。雨だけならともかく、雷が鳴り始めるとさすがにこわくて、どのみちしばらく帰れない。

わたしはえれなを待つことに決めた。

昇降口の段差にしゃがみこんで膝を抱えるようにして、雨が降る様子を見ながらとうとうこの日が来ちゃったなと思った。

でも、ほんとうだったら、体育祭の日に颯太くんとえれなは付き合い始めていたはずだったんだ。それが少しのびただけだ。

やっぱり颯太くんはえれなが好きで、夏休みに入る前にきちんと思いを伝えたかったんだろう。ただのクラスメートだと、夏休み中なかなか会えないけれど、付き合いだしたらふたりだけの楽しい時間をいくらでも過ごすことができる。

あーあ、と小さく口に出してみた。わたしはえれなも颯太くんもふたりとも好きだ。
でも颯太くんがえれなに告白することで、ある意味ふたりとも失うことになるんだなとさみしさと心細さを感じていた。
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