星の涙
そう、子供のころはよくえれなの家族も一緒になって、この八幡様のお祭りにきた。みんなでお参りをして、屋台で食事を食べて、帰ってきた。そのままお父さんたちは飲みに行っちゃって、お母さんと子供たちは家でゲームしたりすることもあった。

あの頃はまだえれなとわたしにそんなに違いなかったのにな……いや、えれなはあの頃から可愛かったし、わたしは地味だった。でも、いまみたいにえれなに引け目を感じたりすることはなかった。いつから、こんな風に変わってしまったんだろう。

そんなことを考えていたら、手がとまってしまった。

「どうした?」

わたしの様子に気づいて、颯太くんがたずねてきた。

「なんでもない。…えれなにおみやげにしてあげよう、颯太くんいっぱいとろう!」

「おお、よし」

テキ屋のおじさんに400円ずつ払い、プラスチックの丸い枠に薄い紙がはられた道具、ポイをもらう。颯太君は浴衣の袖を肩までまくりあげた。せっかく大人っぽく見えたのに、またいつもの颯太くんに戻る。

「水面の近くを泳いでるやつがとりやすいんだ」

颯太くんが小さな声で教えてくれた。

わたしはうなずいて、水面近くをゆっくり泳いでいる金魚をすくおうとポイを水にいれる。逃げる金魚を追いかけるようにポイを動かしたら、あっという間に真ん中から紙がさけてしまった。
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