星の涙
いろんな偶然がたくさんおきて、その度にうれしかったり幸せだったりして、そのせいで、もうやめよう、やめようと思っても、それでもどんどん颯太くんを好きになってしまう。

本当なら誰かに恋するって、幸せなことなのかもしれない。

でも、こんなふうにかなわないとわかっていて、結局傷つくだけだってわかっていて、好きになってしまうことに、なんの意味があるんだろう。

颯太くんがわたしにとって大切なえれなと付き合うことになったら、毎日ふたりが笑い合う様子を見ることになったら、わたしはただそれを喜んでいられるだろうか。

そんなの無理にきまってる。きっと毎日少しずつ傷ついて、少しずついろんなことをあきらめていくんだろう。

そして、今よりもっと自分のことを嫌いになってしまうんだろう。

好きな人に愛されない自分が、誰にも必要とされない自分が嫌になって、見切りをつけていくんだろう。
だったら、これ以上颯太くんのことを好きにならないほうがいいにきまってる。

恋する気持ちを捨てたとしたって、苦しくて友達の幸せを喜べない自分になるよりは、そして自分自身を嫌いになるよりは、よほどましだと思った。


もう、颯太くんには会いたくない。
いままでの幸せも、嬉しかった記憶も、全部忘れてしまいたい。

神様、お願いだから、これ以上、颯太くんのことを好きにさせないで。

忘れられることができないのなら、いっそのこと嫌いになりたい。
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