一輪の花を君に。
「まず。皆に謝りたいことがあって…。」
理人「謝りたいこと?」
「今まで、皆に嘘をついていました。ごめんなさい。」
翔太「え?」
「実は…。私…」
どうしよう…。
いざとなると話せなくなる。
この事を話すと、今までの関係がなくなりそうで怖かった。
もう1度、私は深呼吸をする。
「美空。ゆっくりでいいんだよ。」
私の様子を見ていた香音が、すかさずフォローに回ってくれた。
「今まで、ご飯の時とか1日中いなかったことがあったの覚えてるかな…。そのこと、今まで皆に色んな嘘をついて誤魔化していたんだけど…本当は入院をしていたの…。」
翔太「入院?」
理人「美空、どこか悪いのか?」
「私は、気管支喘息っていう生れつき病気を持ってて。それだけじゃなくて、実は小学校の尿検査でigA腎症が見つかったの。igA腎症の方は、安定しているけど喘息の方が今は辛くて。これから、一緒に暮らすとしたら喘息の方で皆に迷惑をかけると思う…。だから、隠しきれないし隠すことが疲れると思って。」
理人「どうしてだよ…。」
「え?」
理人「どうして今まで、話してくれなかったんだよ。」
「話して、どうするの?」
理人の言葉が、胸に突き刺さる。
思わず、私は少しだけ八つ当たりのようにそう言い放ってしまった。
けど、やっぱり話したことで変わってしまったんだと思う。
話さなければよかったのかもしれない。
私が話したことで、リビングの空気は緊迫感に張り詰められていた。
「ごめん、それだけ…。」
私は、この重い空気に耐えきれなくなって思わず立ち上がっていた。
部屋へ戻ろうとしたら、手首を大翔に掴まれた。
大翔「逃げるなよ。話はまだ、終わってない。」
「痛いよ、大翔。」
「あっ!悪い。」
大翔は、急いで私の手首を離した。
「いいから、もう1回座って。」
大翔にそう言われ、私はもう1度椅子に座った。
大翔「一昨日の夜、千鶴先生と皆で会議をした後に、七瀬先生が美空を気にかけていたことが気になって聞いたんだ。どうしてそこまで、美空の旅立ちを反対した態度をとったのか気になったんだ。美空、勝手に聞いたりして、悪かったな。」
「いいよ。」
大翔「それで…美空のことを昨日の夜に理人や翔太に話した。本当は美空の口から聞いた方がよかった。でも、きっと美空は隠し通すと思ったんだ。そうなったら、美空自身も辛いだろう?頼れる人がすぐ側にいない方がよっぽど辛いと思った。美空が苦しい時、発作が起きた時、対応が遅れたら美空の命にも関わってくる。そんな大事なことを1人で抱え込ませているわけにはいけないと思った。勝手に判断して悪かったな。」
「そんなこと…いいよ。」
理人「…皆で、美空を支えていけるように、美空と一緒にいることができるように、俺たちも勉強をしたんだ。でもやっぱり、医学は難しいな。」
理人は、そう言って頭をポリポリかいた。
翔太「美空。もうさ、我慢なんかするなよ。辛い時は頼れよ。てか、頼ってよ。俺たち、助け合ってここまでやってきたじゃん。気を遣うなんて、俺達らしくないよ。」
理人「そうだよ。俺達もたくさん美空に救われた。美空が、ここにいてくれたからすぐにこの施設にも慣れたんだよ。」
香音「私達、美空がいたから大丈夫って思えた。美空は最初無愛想だったけど、何故かここが安心できる場所って思ったの。」
大翔「それだけ、美空が俺たちの希望の光だったんだよ。だから、もう1人で悩むな。」
理人「謝りたいこと?」
「今まで、皆に嘘をついていました。ごめんなさい。」
翔太「え?」
「実は…。私…」
どうしよう…。
いざとなると話せなくなる。
この事を話すと、今までの関係がなくなりそうで怖かった。
もう1度、私は深呼吸をする。
「美空。ゆっくりでいいんだよ。」
私の様子を見ていた香音が、すかさずフォローに回ってくれた。
「今まで、ご飯の時とか1日中いなかったことがあったの覚えてるかな…。そのこと、今まで皆に色んな嘘をついて誤魔化していたんだけど…本当は入院をしていたの…。」
翔太「入院?」
理人「美空、どこか悪いのか?」
「私は、気管支喘息っていう生れつき病気を持ってて。それだけじゃなくて、実は小学校の尿検査でigA腎症が見つかったの。igA腎症の方は、安定しているけど喘息の方が今は辛くて。これから、一緒に暮らすとしたら喘息の方で皆に迷惑をかけると思う…。だから、隠しきれないし隠すことが疲れると思って。」
理人「どうしてだよ…。」
「え?」
理人「どうして今まで、話してくれなかったんだよ。」
「話して、どうするの?」
理人の言葉が、胸に突き刺さる。
思わず、私は少しだけ八つ当たりのようにそう言い放ってしまった。
けど、やっぱり話したことで変わってしまったんだと思う。
話さなければよかったのかもしれない。
私が話したことで、リビングの空気は緊迫感に張り詰められていた。
「ごめん、それだけ…。」
私は、この重い空気に耐えきれなくなって思わず立ち上がっていた。
部屋へ戻ろうとしたら、手首を大翔に掴まれた。
大翔「逃げるなよ。話はまだ、終わってない。」
「痛いよ、大翔。」
「あっ!悪い。」
大翔は、急いで私の手首を離した。
「いいから、もう1回座って。」
大翔にそう言われ、私はもう1度椅子に座った。
大翔「一昨日の夜、千鶴先生と皆で会議をした後に、七瀬先生が美空を気にかけていたことが気になって聞いたんだ。どうしてそこまで、美空の旅立ちを反対した態度をとったのか気になったんだ。美空、勝手に聞いたりして、悪かったな。」
「いいよ。」
大翔「それで…美空のことを昨日の夜に理人や翔太に話した。本当は美空の口から聞いた方がよかった。でも、きっと美空は隠し通すと思ったんだ。そうなったら、美空自身も辛いだろう?頼れる人がすぐ側にいない方がよっぽど辛いと思った。美空が苦しい時、発作が起きた時、対応が遅れたら美空の命にも関わってくる。そんな大事なことを1人で抱え込ませているわけにはいけないと思った。勝手に判断して悪かったな。」
「そんなこと…いいよ。」
理人「…皆で、美空を支えていけるように、美空と一緒にいることができるように、俺たちも勉強をしたんだ。でもやっぱり、医学は難しいな。」
理人は、そう言って頭をポリポリかいた。
翔太「美空。もうさ、我慢なんかするなよ。辛い時は頼れよ。てか、頼ってよ。俺たち、助け合ってここまでやってきたじゃん。気を遣うなんて、俺達らしくないよ。」
理人「そうだよ。俺達もたくさん美空に救われた。美空が、ここにいてくれたからすぐにこの施設にも慣れたんだよ。」
香音「私達、美空がいたから大丈夫って思えた。美空は最初無愛想だったけど、何故かここが安心できる場所って思ったの。」
大翔「それだけ、美空が俺たちの希望の光だったんだよ。だから、もう1人で悩むな。」