一輪の花を君に。
理人「千鶴先生的には、何処が1番いいと思いますか?」
「そうね…。ここがいいんじゃないかしら。」
場所は、海に近いところでここからもそれほど遠くはなかった。
私が、バイトをしていることも考えての決断だったと思う。
そこからなら、バイト先も病院も近いから私はいいかな。
みんなは、大丈夫なのかな…。
「私も、いいと思うけどみんなはどうかな。」
私は、皆にそう聞いてみた。
大翔「俺も、いいと思う。」
それから、皆も千鶴先生の勧めた場所に賛成した。
「じゃあ、ここで決まりにするなら、大家さんに報告するけど、いいかな?」
「はい。」
「それじゃあ、連絡してくるね。」
千鶴先生は、そう言うと部屋を後にした。
「あ、ここにいた。」
理人「西条先生!」
「美空、ちょっといいかな?」
「私?」
「うん。あの、中森先生がお見えになられたよ。」
「中森…先生。」
大翔「美空?俺も行こうか?」
「大丈夫。ありがとう、大翔。」
私は、西条先生と一緒に、中森先生の待つ保健室へと向かった。
保健室は、七瀬先生の部屋でもある。
「失礼します。」
私は、扉を開けてから頭を下げた。
「そんな、かしこまらなくていいよ。」
「美空、ちょっとおいで。」
私は、七瀬先生に誘導され中森先生の隣に座らされた。
「…ちょっと、すみません。」
私は、やっぱり怖かった。
男性の隣に座ることが怖くて、気づいたら立ち上がっていた。
「無理しなくていいよ、今日は少しだけ美空に近づけた気がする。」
「え?」
「美空、七瀬先生に誘導されながらも、俺の隣に来るまで、抵抗しなかっただろ?だから、少しでも成長が見られたから、よかったよ。」
「この人…。ポジティブ…。」
普通、ここまで拒否されたら、めげたりするものじゃないの?
「ぷっ!」
私の言葉に、盛大に七瀬先生は吹き出した。
「え?」
「いや、美空。本当、笑わせないで。」
「え?」
「美空、中森先生が美空のことなんて呼んでるか知ってる?」
「私の…こと?」
そういえば、なんて呼ばれてたんだっけ?
あれ?
全然、思い出せない。
きっとさっきも、私の名前呼んだよね?
「美空、ちゃんと中森先生のこと受け入れてるよ。中森先生は、美空のことずっと下の名前で呼び捨てにして呼んでたのよ。頭ではちゃんと怖くないって分かっているけど、身体が反射的に怖がってしまうんだと思う。その証拠に、中森先生が美空を呼び捨てにすることに、違和感なんて全くなかったでしょ?」
うそ…。
私のこと、下の名前で呼んでいたの?
全然、違和感なんてなかった。
私は、再び中森先生の顔を見た。
中森先生は、優しく微笑んでいる。
あれ?
私は、気付いたら不思議な感覚になっていた。
さっきまで、怖かったのにどうして?
「美空は、大人の男性に名前を呼ばれることが嫌いだったんです。」
たしかに、私は大人の男性に名前を呼ばれることが嫌だった。
汚らわしくて、自分の名前が汚染されるみたいで嫌だった。
美しい空。
これは、母親が私にくれた大切な名前。
だから、暴力を奮った私の父と同じ男性に名前を呼ばれることだけは嫌いで、その度に恐怖に襲われていたんだ。
この人に対しては、反射的に身体が反応していただけなのかもしれないのかな。
「そうね…。ここがいいんじゃないかしら。」
場所は、海に近いところでここからもそれほど遠くはなかった。
私が、バイトをしていることも考えての決断だったと思う。
そこからなら、バイト先も病院も近いから私はいいかな。
みんなは、大丈夫なのかな…。
「私も、いいと思うけどみんなはどうかな。」
私は、皆にそう聞いてみた。
大翔「俺も、いいと思う。」
それから、皆も千鶴先生の勧めた場所に賛成した。
「じゃあ、ここで決まりにするなら、大家さんに報告するけど、いいかな?」
「はい。」
「それじゃあ、連絡してくるね。」
千鶴先生は、そう言うと部屋を後にした。
「あ、ここにいた。」
理人「西条先生!」
「美空、ちょっといいかな?」
「私?」
「うん。あの、中森先生がお見えになられたよ。」
「中森…先生。」
大翔「美空?俺も行こうか?」
「大丈夫。ありがとう、大翔。」
私は、西条先生と一緒に、中森先生の待つ保健室へと向かった。
保健室は、七瀬先生の部屋でもある。
「失礼します。」
私は、扉を開けてから頭を下げた。
「そんな、かしこまらなくていいよ。」
「美空、ちょっとおいで。」
私は、七瀬先生に誘導され中森先生の隣に座らされた。
「…ちょっと、すみません。」
私は、やっぱり怖かった。
男性の隣に座ることが怖くて、気づいたら立ち上がっていた。
「無理しなくていいよ、今日は少しだけ美空に近づけた気がする。」
「え?」
「美空、七瀬先生に誘導されながらも、俺の隣に来るまで、抵抗しなかっただろ?だから、少しでも成長が見られたから、よかったよ。」
「この人…。ポジティブ…。」
普通、ここまで拒否されたら、めげたりするものじゃないの?
「ぷっ!」
私の言葉に、盛大に七瀬先生は吹き出した。
「え?」
「いや、美空。本当、笑わせないで。」
「え?」
「美空、中森先生が美空のことなんて呼んでるか知ってる?」
「私の…こと?」
そういえば、なんて呼ばれてたんだっけ?
あれ?
全然、思い出せない。
きっとさっきも、私の名前呼んだよね?
「美空、ちゃんと中森先生のこと受け入れてるよ。中森先生は、美空のことずっと下の名前で呼び捨てにして呼んでたのよ。頭ではちゃんと怖くないって分かっているけど、身体が反射的に怖がってしまうんだと思う。その証拠に、中森先生が美空を呼び捨てにすることに、違和感なんて全くなかったでしょ?」
うそ…。
私のこと、下の名前で呼んでいたの?
全然、違和感なんてなかった。
私は、再び中森先生の顔を見た。
中森先生は、優しく微笑んでいる。
あれ?
私は、気付いたら不思議な感覚になっていた。
さっきまで、怖かったのにどうして?
「美空は、大人の男性に名前を呼ばれることが嫌いだったんです。」
たしかに、私は大人の男性に名前を呼ばれることが嫌だった。
汚らわしくて、自分の名前が汚染されるみたいで嫌だった。
美しい空。
これは、母親が私にくれた大切な名前。
だから、暴力を奮った私の父と同じ男性に名前を呼ばれることだけは嫌いで、その度に恐怖に襲われていたんだ。
この人に対しては、反射的に身体が反応していただけなのかもしれないのかな。