一輪の花を君に。
そっか…。



そうだったんだ。



でも、どうして?



この人に対しては、違和感なんて全くなかった。




同じ男性なのに。




もしかして、この人は男性じゃない?




そんなことを考えていると、七瀬先生に呼ばれ私は我に返った。




「大丈夫?ぼーっとして、体調悪い?」




七瀬先生に、顔をのぞき込まれた。



「いや、大丈夫です。」




「これから、毎日ここに通って、美空の様子を見ていきたいって思ってる。いいかな?」




中森先生は、私にそう尋ねると、私は素直に頷いた。




「あの…。話はもういいですか?」





「あっ、もうちょっとだけ待ってて。中森先生ちょっと私、用があるので抜けますね。」




えっ!?




私は、思わず七瀬先生の手首を掴んでいた。





「お願いします…。2人にしないで。」





「美空。大丈夫だから。私を信じてほしい。」




七瀬先生は、私の瞳を捉えて離さなかった。




真剣な瞳は、私の心を動かすように思わず頷いてしまった。




「30分したら、戻ってくるから。」




私を、優しく抱きしめてから七瀬先生は席を外した。
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