一輪の花を君に。
「大翔、1回座って。」



気づいたら、俺は立ち上がっていた。



「カフェオレとココア、どっちがいい?」




「え、じゃあカフェオレで。」





七瀬先生は、マグカップに温かいカフェオレを出してくれた。





「はい、これ。」




七瀬先生から渡されたのは、美空の成長記録。





ここには、美空の健康状態が載っている。




ページを開くと、『難治性の気管支喘息』と『igA腎症』と記され、美空がその2つの病気を併発していることが、明らかに分かった。




「美空ね、実は定期的に私の病院に来ていたの。美空は、皆に言いたくないって言うから、美空は色んな理由をつけて、いなかったことあったでしょう?」





「もしかして、入院とかしてたんですか?」




「うん。」





「あの。igA腎症って何ですか?」





「簡単に言うと慢性の腎臓病のことかな。今は通院して、治療して安定はしているけど、でもだからってずっと大丈夫っていう保障はどのにもなくて、悪化したら『透析』っていう治療が必要になる。週に3回、1回4時間。その間ずっとベッドで横になっていないといけなくなる。」
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