柏木達也の憂い
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学生時代にちょっとしたコンペで入賞して、調子にのったまま大手の建築事務所に入った。
だけど、そんな学生時代に培った自信なんて通用しなくて・・・。
理想と現実のギャップに苦しんでた頃、手を差し伸べてくれたのは4つ年上の先輩だった。
その人は事務所の中でも若手の成長株と言われていて、チームで唯一の女性というのもあり、上からも目をかけられていた。
だけど同じクライアントを担当することがなかったので、あまりかかわることがなかった。
だけど、入社して1年が過ぎた頃。
「はぁ。やっぱり俺のデザインじゃ通用しないのかな」
小さ目の案件は自分がメインで任されるようになってから、俺の闇は深くなっていった。
クライアントからの要望を聞きながら、もっとこうだったらいいのに、という俺なりの提案を入れて設計を起こすようにしているのだが、それが全く通らない。