探し屋さんと僕の奇妙な日常

１章

薄暗い路地の先、一軒のビルが静かに佇む。
その前に掲げられた看板は、奇妙だった。


【探し物、謎、雑貨　『なぞなぞ屋』
バイト募集中】


「……探し物？謎？」
三月遥斗は瞬きをし、再度看板を見た。
「住所はここで合ってるよな。」
手元のメモには住所だけ
「何か、うちに用ですか？」
振り返ると、中学生だろうか？
ラフな服装の少女が立っていた。
友達の紹介でバイトの面接を受けに来たことと、店の場所がわからないことを伝えると
「藤田の知り合いってことか…
あ、中入ってください」
返事をする余裕もなく、店に入った。
「仁紀、おかえりぃ」
ルービックキューブをいじっていた少年が顔を上げた。
「新しいバイトかぁ？」
語尾に小文字がつくのが少年の特徴らしい。
「うん、採用」
へ？
「あ、自己紹介がまだだった
あたしは秋山仁紀、この店の店長。
店長でも名前でも、好きに呼んで」
「瑞樹輝、俺も好きに呼んでねぇ」
店長!?
「店長っていくつですか？」
「十五、高一」
世の中にはすごい人も居るんだな…
高一で店経営しちゃうような
「四歳も年上なのかぁ」
いつの間にか、鞄に入れといた履歴書が輝君に渡ってた。
「細かいことは後でいいや、二人とも出かけるよ!!」
店の奥に入ってしまう
「どこ行くの？」
「新しい依頼の所じゃないかぁ？
あぁ、七希呼ばなきゃ」
電話をかけ始めたので、会話がなくなる

それにしても、不思議な店だな。
アンティーク調で揃えられた室内はそれなりに広い
こんな部屋を高校生が使ってるなんて、あの二人は何者なんだ？

「何してんのぉ？」
少し考え事をしてたら、いつの間にか背後に立っていた輝君
「そろそろ出るよぉ」
よし、行くか