メガネの王子様
*****
文化祭当日の今日は晴天に恵まれていた。
土曜日に行われるウチの文化祭は一般公開していて、たくさんの人が校門をくぐって入って来る。
「クッキーとコーラ、オレンジジュースですね。しばらくお待ち下さい。」
私は注文を取りオーダーを通した。
それにしても……この衣装はかなり恥ずかしい///
あのとき、何人かの男子に手渡された衣装はチャイナドレスだった。
かなりのピッタリサイズで身体のラインが分かるし、スカート丈は膝下くらいまであるんだけど、ガッツリ太ももまでスリットが入っていて、うっかりすると下着が見えてしまいそうになる。
髪型も学校に来てから、両サイドでお団子にされたので、いつもは隠れている、うなじも丸見えでなんだか恥ずかしい///
「…お、落ち着かない。早く着替えたい。」
ボソッと独り言を言ってみる。
「ホント、何やってんだよっ、神崎はっ///」
後ろから声がしたので振り向いてみると、海賊に扮した健ちゃんの姿があった。
「健ちゃん…、顔が赤いよ。暑い?大丈夫?」
10月だというのに今日は暑くて半袖のチャイナドレスの私でも平気なくらいなのに、健ちゃんは長袖のうえ何だかジャラジャラと装飾が付いていて暑そうだし重そうだ。
「大丈夫じゃないっ///コレ、腰に巻いとけよ。」
健ちゃんは目を逸らしながらカーディガンを強引に渡してきた。
「へ?あっ、目障りだったよね?ごめん、ありがとう。」
こんな太い足なんて、そりゃ誰も見たくないよね?
コスプレ喫茶をご利用の皆様、ご迷惑をお掛けしました。
私は健ちゃんからカーディガンを受け取り腰に巻いた。
「は?何言ってんの?そういう意味じゃないだろ///」
ん?じゃぁ、どういう意味なんだ?
健ちゃんってば、たまに訳のわからないことを言うなぁ。
「神崎って本当に鈍いのな。無防備というかなんと言うか…。」
はぁ…と溜息をつきながら頭を押さえている健ちゃん。
なぜ、溜息?
「とりあえず、神崎はあんまりオーダー取りに行くな。っつーか、そんな衣装だって知ってたら着させなかったのに///」
「………?」
「はぁぁぁ…、ホント…目が離せない。」
健ちゃんが今度は自分の髪をクシャクシャとしながら私をじっと見てきた。
「どうしたの、健ちゃん?」
健ちゃんの行動が不思議で、私は首を傾げながら健ちゃんを見上げた。
「〜〜〜っ///何でもないっ。俺、注文を取ってくるっ。」
そう言って健ちゃんは早足で、入って来たお客さんに注文を取り行ってしまった。
なんだったんだろ?変な健ちゃん…。
「萌香ちゃん、これ2番テーブルに持って行ってぇ。」
厨房担当(ーーって言ってもクッキーをお皿に乗せてペットボトルのジュースを紙コップに入れるだけなんだけど)がトレーにクッキーとコーラ、オレンジジュースを乗せて私に渡した。
あ、さっき私がオーダー取ったやつだ。
「了解」と私はトレーを受け取り2番テーブルに運ぶ。
「お待たせ致しました。」
テーブルの上に運んできた物を一つずつ丁寧に置いていく。
「あれー⁉︎なんで腰にカーディガンなんて巻いてるの?ダメじゃんっ、外しなよー。」
突然、金髪の男の人が私の腰に巻いてあるカーディガンに触れてきた。
「ちょっ⁉︎やめて下さいっ!」
私はカーディガンを押さえながら金髪との距離をとる。
「えーっ、だってコスプレ喫茶なのにさぁ、腰にカーディガン巻いてたら変でしょーっ。サービス悪いんじゃねーのー?」
文化祭だよっ?アンタこそ店を間違えてんじゃないのっ?
「はぁ⁈サービスって、何よっ!」
失礼な金髪の態度に腹が立った私は、お客だと言うことを忘れて言い返す。
「お前、客にそんな態度でいいと思ってんのかよ?」
金髪の友達のチャラいパーマ男が席を立ち、私の手首を強引に掴んできた。
「痛っ!離してよっ‼︎」
チャラパーマをこれでもかってくらいに睨んで抵抗する。
「うわっ、可愛い〜。オレ、持って帰っちゃおうかなぁ。」
なに言ってんのーっ⁉︎コイツっ‼︎
私がチャラパーマの手を外そうとブンブンと力一杯に腕を振っていたらーーー
パシッ!
突然、2つ手が伸びてきて、チャラパーマと私の手を離してくれた。
「お前らなんて客じゃねーっすよ。今すぐ出て行けよ。」
「軽々しく彼女に触れないで下さい。」
振り返ると、海賊姿の健ちゃんとパイロット姿の桐生が鬼の形相で私の両サイドからチャラパーマを威嚇していた。
「なんだとっ!このヤローっ‼︎」
チャラパーマが桐生に向かって殴りかかり「キャー‼︎」と女子の悲鳴が上がる。
ガツッと鈍い音と共に桐生の眼鏡が飛んだ。
「桐生っ!」と私が叫んだとき、騒ぎを聞きつけた先生が教室に入って来る。
「お前ら、何やってんだっ!」
そう言いながら先生がこっちに来ると、「ヤベッ」と言って金髪とチャラパーマは走って逃げて行った。
私は急いで桐生の頭に、腰に巻いてあるカーディガンを被せ眼鏡を拾う。
「桐生、鼻血が出てるっ!早く保健室に行かなきゃっ!」
と言って桐生の手を掴み、強引に引っ張って教室を出て行った。
文化祭当日の今日は晴天に恵まれていた。
土曜日に行われるウチの文化祭は一般公開していて、たくさんの人が校門をくぐって入って来る。
「クッキーとコーラ、オレンジジュースですね。しばらくお待ち下さい。」
私は注文を取りオーダーを通した。
それにしても……この衣装はかなり恥ずかしい///
あのとき、何人かの男子に手渡された衣装はチャイナドレスだった。
かなりのピッタリサイズで身体のラインが分かるし、スカート丈は膝下くらいまであるんだけど、ガッツリ太ももまでスリットが入っていて、うっかりすると下着が見えてしまいそうになる。
髪型も学校に来てから、両サイドでお団子にされたので、いつもは隠れている、うなじも丸見えでなんだか恥ずかしい///
「…お、落ち着かない。早く着替えたい。」
ボソッと独り言を言ってみる。
「ホント、何やってんだよっ、神崎はっ///」
後ろから声がしたので振り向いてみると、海賊に扮した健ちゃんの姿があった。
「健ちゃん…、顔が赤いよ。暑い?大丈夫?」
10月だというのに今日は暑くて半袖のチャイナドレスの私でも平気なくらいなのに、健ちゃんは長袖のうえ何だかジャラジャラと装飾が付いていて暑そうだし重そうだ。
「大丈夫じゃないっ///コレ、腰に巻いとけよ。」
健ちゃんは目を逸らしながらカーディガンを強引に渡してきた。
「へ?あっ、目障りだったよね?ごめん、ありがとう。」
こんな太い足なんて、そりゃ誰も見たくないよね?
コスプレ喫茶をご利用の皆様、ご迷惑をお掛けしました。
私は健ちゃんからカーディガンを受け取り腰に巻いた。
「は?何言ってんの?そういう意味じゃないだろ///」
ん?じゃぁ、どういう意味なんだ?
健ちゃんってば、たまに訳のわからないことを言うなぁ。
「神崎って本当に鈍いのな。無防備というかなんと言うか…。」
はぁ…と溜息をつきながら頭を押さえている健ちゃん。
なぜ、溜息?
「とりあえず、神崎はあんまりオーダー取りに行くな。っつーか、そんな衣装だって知ってたら着させなかったのに///」
「………?」
「はぁぁぁ…、ホント…目が離せない。」
健ちゃんが今度は自分の髪をクシャクシャとしながら私をじっと見てきた。
「どうしたの、健ちゃん?」
健ちゃんの行動が不思議で、私は首を傾げながら健ちゃんを見上げた。
「〜〜〜っ///何でもないっ。俺、注文を取ってくるっ。」
そう言って健ちゃんは早足で、入って来たお客さんに注文を取り行ってしまった。
なんだったんだろ?変な健ちゃん…。
「萌香ちゃん、これ2番テーブルに持って行ってぇ。」
厨房担当(ーーって言ってもクッキーをお皿に乗せてペットボトルのジュースを紙コップに入れるだけなんだけど)がトレーにクッキーとコーラ、オレンジジュースを乗せて私に渡した。
あ、さっき私がオーダー取ったやつだ。
「了解」と私はトレーを受け取り2番テーブルに運ぶ。
「お待たせ致しました。」
テーブルの上に運んできた物を一つずつ丁寧に置いていく。
「あれー⁉︎なんで腰にカーディガンなんて巻いてるの?ダメじゃんっ、外しなよー。」
突然、金髪の男の人が私の腰に巻いてあるカーディガンに触れてきた。
「ちょっ⁉︎やめて下さいっ!」
私はカーディガンを押さえながら金髪との距離をとる。
「えーっ、だってコスプレ喫茶なのにさぁ、腰にカーディガン巻いてたら変でしょーっ。サービス悪いんじゃねーのー?」
文化祭だよっ?アンタこそ店を間違えてんじゃないのっ?
「はぁ⁈サービスって、何よっ!」
失礼な金髪の態度に腹が立った私は、お客だと言うことを忘れて言い返す。
「お前、客にそんな態度でいいと思ってんのかよ?」
金髪の友達のチャラいパーマ男が席を立ち、私の手首を強引に掴んできた。
「痛っ!離してよっ‼︎」
チャラパーマをこれでもかってくらいに睨んで抵抗する。
「うわっ、可愛い〜。オレ、持って帰っちゃおうかなぁ。」
なに言ってんのーっ⁉︎コイツっ‼︎
私がチャラパーマの手を外そうとブンブンと力一杯に腕を振っていたらーーー
パシッ!
突然、2つ手が伸びてきて、チャラパーマと私の手を離してくれた。
「お前らなんて客じゃねーっすよ。今すぐ出て行けよ。」
「軽々しく彼女に触れないで下さい。」
振り返ると、海賊姿の健ちゃんとパイロット姿の桐生が鬼の形相で私の両サイドからチャラパーマを威嚇していた。
「なんだとっ!このヤローっ‼︎」
チャラパーマが桐生に向かって殴りかかり「キャー‼︎」と女子の悲鳴が上がる。
ガツッと鈍い音と共に桐生の眼鏡が飛んだ。
「桐生っ!」と私が叫んだとき、騒ぎを聞きつけた先生が教室に入って来る。
「お前ら、何やってんだっ!」
そう言いながら先生がこっちに来ると、「ヤベッ」と言って金髪とチャラパーマは走って逃げて行った。
私は急いで桐生の頭に、腰に巻いてあるカーディガンを被せ眼鏡を拾う。
「桐生、鼻血が出てるっ!早く保健室に行かなきゃっ!」
と言って桐生の手を掴み、強引に引っ張って教室を出て行った。