メガネの王子様
*****



「君の事が好きです。

オレと付き合って下さい。」



清宮先輩がステージの上から私を真剣な眼差しで見つめる。

突然、スポットライトを当てられ、公開告白をされて私の心臓はバクバクと暴れていた。

返事をしなきゃ。

でも、なんて?

私は失恋したけど、まだ桐生のことが好きなんだよ?

こんな状態で清宮先輩の気持ちを受け入れるわけにはいかない。

ぐるぐると頭の中で考えていたらーーー



「悪いけど、コイツは諦めて。」



魅惑的な低音ボイスが体育館に響いた。

気が付けばいつの間にか、私の隣にイケメンバージョンの桐生が立っていてーーー

「行くぞ。」

と一言だけ言って私の手を取り、出口に向かって引っ張って走って行く。

わけが分からないまま振り返えると、清宮先輩がマイクを投げ捨ててステージを飛び降りる姿が見えた。

「離してっ。」

「絶対に離さないっ。」

なぜが怒ったような口調の桐生に、それ以上何も言えないまま私達は体育館を出て行った。



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