メガネの王子様
第3章
いつもと違うんです
翌日から2日間、振替休日で学校は休みだったが2日間とも陽葵に呼び出され、桐生や清宮先輩の事で質問攻めにあった。
そして水曜日の朝…………
いつものようにたくさんの友達と挨拶を交わしながら教室へ向かう。
教室に入ると1番前の席の桐生とすぐに目が合った。
「おはようございます。」
っーーーっ///⁉︎
なにっ、その爽やかな笑顔はっ///
眼鏡をかけててもイケメンが漏れてるよっ///
「お、おはよ///」
ダメだっ///
まともに顔が見られないっ。
私はすぐに目を逸らし足早にその場を離れた。
私が自席に鞄を置くと、健ちゃんがちょうど隣の席にいて挨拶をしてくれる。
「おっす、神崎。」
「あ、健ちゃん、おはよ。」
「ん?神崎、髪に何かついてるぞ?」
「えっ?なに?健ちゃん取って、取ってっ⁉︎」
何がついてるんだろ?虫とかだったら嫌だよっ!
「お、おう…///」
健ちゃんの手が私の髪に触れ落ち葉がヒラヒラと舞い落ちた瞬間、後ろにぐっと身体ごと引っ張られた。
そのままの体制で見上げると、桐生の顔がすぐそこにあって心臓がドクンッとなる。
「な、なに///⁉︎ 桐生っ⁇」
「神崎さん、少しお時間いいですか?」
…あれ?
さっきの爽やかな笑顔はどこに行っちゃったの?
なんか……不機嫌⁇⁇
桐生は有無を言わさず私の手を引いて教室を出て行く。
「ちょっと、桐生っ。どこ行くのよっ。」
「…………………。」
返事をしないまま私を校舎裏に連れてきた桐生は、私の手を離し両手で頭を勢いよく掻きモサッとした髪を更にモサモサにした。
「き、桐生⁇」
「…悪い、こんな事するつもりじゃなかったんだけど…。」
私は背中を向けて俯いている桐生の耳が、赤くなっていることに気付く。
「…桐生の耳、赤いよ?」
バッと慌てて耳を隠す桐生。
なに、ソレっ⁉︎
か、可愛いっ///
しばらくして桐生はクルッと振り向いて、大きな手で私に目隠しをした。
「見んな、バカ///」
うそーっ///
桐生が照れてるーーーっ。
信じられないっ、あの桐生がっ。
クールで俺様で意地悪な、あのっ桐生が⁉︎
そんな可愛い一面を見せられたら、もっと好きになっちゃうじゃんっ///
「…もうすぐ本鈴がなるから、お前は教室へ帰れよ///」
「え?桐生は?」
「俺は怠いからサボる。」
そう言っていつもの定位置に座り、カーディガンのポケットから小さな本を取り出し読み始めた。
「じゃ、じゃあ、私も朝のSHRはサボる。」
「ダメ。お前は教室に戻れ。」
えーーーっ!
強引に連れ出しておいて、自分だけサボるってどういう事⁇
私が不服そうな顔をしていたら、桐生が「早く行け」という目で睨んでくる。
「ゔーー…わかったよ。桐生も1限には出るんだよっ。」
そう言い残し私は渋々その場を後にした。