メガネの王子様
*****
放課後…
「ごめん、萌香。この埋め合わせは絶対するからっ。」
そう言って陽葵は両手を顔の前で合わせてから、慌てて教室を出て行った。
「あいつ、何、慌ててんの?」
健ちゃんがスポーツバックを肩に掛けて、私の席にやって来る。
「なんかね、彼氏が熱出して会社を早退したんだって。それで看病しに行くみたい。」
「そっか、水樹さん独り暮らしだからな…。」
独り暮らしの彼のために、お粥を作ったり、濡らしたタオルを頻繁に変えてあげたりするんだろうな陽葵は…。
「陽葵みたいな彼女がいたら幸せだろうなぁ。」
「ぷっ、なに?神崎は彼女が欲しいわけ?」
「ち、違うよっ。陽葵みたいな魅力的な女の子になりたいってことだよ。」
「…じゅぅ…………、だよ。」
健ちゃんがボソッと何かを言った。
「え?なに?声が小さくて聞こえないよ。」
「あーっ…だからっ…神崎は今のままで、じゅうぶん魅力的だよっ///」
健ちゃんの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「け、健ちゃんっ。いつの間にそんなお世辞を言えるようになったのっ?成長したねぇ。」
お世辞とか女の子を褒めるのがとても苦手な健ちゃんが、こんな事を言えるようになってるだなんてっ。
陽葵にLIMEしとかなきゃっ。
「…神崎ってほんとバカ///」
「なんでよ、褒めてるのにさ。」
「それより…どうなんだよ。」
「何が?」
「その…他校の彼氏とは、うまくいってんのかよ?」
えっ⁉︎予想外の質問にめちゃ焦るんだけどっ。
まさか健ちゃんにそんな質問されるなんて思ってなかったしーっ⁉︎
「ま、まぁ…。」
本当に桐生と付き合ってるわけじゃないから、なんて答えていいのか分からないよっ。
「神崎の彼氏って………き…」
途中で話すのをやめてしまった健ちゃんは、黙って私の顔をじっと見つめていた。
「なに?どうしたの?」
私は首を傾げながら健ちゃんを見上げる。
「ん〜…、やっぱ何でもない。俺、そろそろ部活に行ってくるわ。」
そう言って健ちゃんは、私の頭をポンポンとしてから教室を出て行った。
「き」って健ちゃんはあの後、何を言おうとしたんだろう?
ま……いっか。
私はスクバを持ち教室を出て昇降口に向う。
あ〜あ、今日は陽葵とクレープを食べに行こうって言ってたのになぁ。
彼氏の体調が悪いから仕方ないけど、私のお腹は超クレープ腹だよぉ。
そう思いながら靴箱からローファーを取り出し履き替える。
「….神崎さん。」
名前を呼ばれて振り返ると、そこにはモサ眼鏡の桐生がいた。
あれ…桐生?
先に教室を出たはずだよね?
まだ帰ってなかったの?
「…は、い?」
「一緒に帰りませんか?」
桐生は今朝と同様、とびっきり爽やかな笑顔で言った。
「ちょっ、ちょっと桐生っ///そんな無防備に笑ったらダメだよっ。バレちゃうっっ。」
イケメンオーラがダダ漏れしちゃってるよっ!
「…っあ、ヤベッ。」
桐生は慌てて通常運転の無表情な顔に戻す。
「今朝から気を抜き過ぎだよっ。いつバレるか私がドキドキしちゃうじゃんっ。」
文化祭以降、モサ眼鏡とイケメンとの区別が曖昧になってきてるよっ。
「わり、無意識だった。」
ほら、今だってモサ眼鏡の桐生なのに敬語じゃないじゃんっ。
「マジで気をつけないとバレちゃうよっ。」
「了解、気を付けます。それで?僕と一緒に帰りますか?」
「……う、うん///」
な、なんか、今日の桐生はいつもと違うんですけどっ///
放課後…
「ごめん、萌香。この埋め合わせは絶対するからっ。」
そう言って陽葵は両手を顔の前で合わせてから、慌てて教室を出て行った。
「あいつ、何、慌ててんの?」
健ちゃんがスポーツバックを肩に掛けて、私の席にやって来る。
「なんかね、彼氏が熱出して会社を早退したんだって。それで看病しに行くみたい。」
「そっか、水樹さん独り暮らしだからな…。」
独り暮らしの彼のために、お粥を作ったり、濡らしたタオルを頻繁に変えてあげたりするんだろうな陽葵は…。
「陽葵みたいな彼女がいたら幸せだろうなぁ。」
「ぷっ、なに?神崎は彼女が欲しいわけ?」
「ち、違うよっ。陽葵みたいな魅力的な女の子になりたいってことだよ。」
「…じゅぅ…………、だよ。」
健ちゃんがボソッと何かを言った。
「え?なに?声が小さくて聞こえないよ。」
「あーっ…だからっ…神崎は今のままで、じゅうぶん魅力的だよっ///」
健ちゃんの顔がみるみるうちに赤く染まっていく。
「け、健ちゃんっ。いつの間にそんなお世辞を言えるようになったのっ?成長したねぇ。」
お世辞とか女の子を褒めるのがとても苦手な健ちゃんが、こんな事を言えるようになってるだなんてっ。
陽葵にLIMEしとかなきゃっ。
「…神崎ってほんとバカ///」
「なんでよ、褒めてるのにさ。」
「それより…どうなんだよ。」
「何が?」
「その…他校の彼氏とは、うまくいってんのかよ?」
えっ⁉︎予想外の質問にめちゃ焦るんだけどっ。
まさか健ちゃんにそんな質問されるなんて思ってなかったしーっ⁉︎
「ま、まぁ…。」
本当に桐生と付き合ってるわけじゃないから、なんて答えていいのか分からないよっ。
「神崎の彼氏って………き…」
途中で話すのをやめてしまった健ちゃんは、黙って私の顔をじっと見つめていた。
「なに?どうしたの?」
私は首を傾げながら健ちゃんを見上げる。
「ん〜…、やっぱ何でもない。俺、そろそろ部活に行ってくるわ。」
そう言って健ちゃんは、私の頭をポンポンとしてから教室を出て行った。
「き」って健ちゃんはあの後、何を言おうとしたんだろう?
ま……いっか。
私はスクバを持ち教室を出て昇降口に向う。
あ〜あ、今日は陽葵とクレープを食べに行こうって言ってたのになぁ。
彼氏の体調が悪いから仕方ないけど、私のお腹は超クレープ腹だよぉ。
そう思いながら靴箱からローファーを取り出し履き替える。
「….神崎さん。」
名前を呼ばれて振り返ると、そこにはモサ眼鏡の桐生がいた。
あれ…桐生?
先に教室を出たはずだよね?
まだ帰ってなかったの?
「…は、い?」
「一緒に帰りませんか?」
桐生は今朝と同様、とびっきり爽やかな笑顔で言った。
「ちょっ、ちょっと桐生っ///そんな無防備に笑ったらダメだよっ。バレちゃうっっ。」
イケメンオーラがダダ漏れしちゃってるよっ!
「…っあ、ヤベッ。」
桐生は慌てて通常運転の無表情な顔に戻す。
「今朝から気を抜き過ぎだよっ。いつバレるか私がドキドキしちゃうじゃんっ。」
文化祭以降、モサ眼鏡とイケメンとの区別が曖昧になってきてるよっ。
「わり、無意識だった。」
ほら、今だってモサ眼鏡の桐生なのに敬語じゃないじゃんっ。
「マジで気をつけないとバレちゃうよっ。」
「了解、気を付けます。それで?僕と一緒に帰りますか?」
「……う、うん///」
な、なんか、今日の桐生はいつもと違うんですけどっ///