メガネの王子様
*****
翌朝、教室に入るなり私はまた囲み取材を受けていた。
「萌香ちゃんっ、昨日、桐生くんと抱き合ってたって本当っ⁉︎」
「イケメン彼氏とは別れちゃったのっ⁇」
私は皆んなの勢いに圧倒されて何も言えないでいた。
昨日のアレ、誰かに見られてたんだっ。
何て説明したらいいんだろうっ⁇
頭の中で昨日の出来事がグルグルと回るだけで、全然まとまらないでいると、皆んなの体の隙間から手がニョキッと出てきて私の腕を掴み、輪の中から引っ張り出した。
「走るぞっ!」
そう言って、その人は私の腕を掴んだまま教室から飛び出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
裏庭まで来て、その人はやっと私の手を離してくれた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
「大丈夫か?神崎。」
私は全力疾走でメチャ息切れしているのに、全くと言っていいほど彼は息切れしていない。
さすが…バスケ部のエース。
「はぁ、はぁ…、う、ん。ありがとう、健ちゃん。」
私を囲み取材から救ってくれたのは、健ちゃんだった。
私はフゥと深呼吸をして息を整える。
「また、助けてもらっちゃったね。」
「お前、最近、囲まれすぎっ。」
「あははっ、本当だね。」
「凝りないな」と言いながら健ちゃんがベンチに座ったので、私もその隣に座った。
「ーーで、今度は何があったんだ?」
「うーん…、昨日さぁ、実は桐生と一緒に帰ったんだよね。
た、たまたまだよっ///陽葵にドタキャンされちゃったからっ///」
「へぇ…桐生と一緒にね…。
ーーで?一緒に帰ったくらいじゃ、あんな大騒ぎになってないだろ?」
ゔ…今日の健ちゃん、なんだかいつもより突っ込みが厳しい…。
「……で、ですね、、少しの間だけ私ひとりになった時があって、ナンパ?されちゃいまして…。
声掛けてきた人が、なんとあのチャラパーマだったんだよね。」
「えっ⁉︎あの文化祭の時のムカつく野郎かよっ?」
「そうなんだ。それで私が車に引きずり込まれそうになってた時に、桐生が帰って来て助けてくれたの。
………凄く怖かった。
そんな私の気持ちに気付いた桐生が、抱き締めて慰めてくれたんだ///
たぶん、その場面だけを誰かに見られてたんだね。」
「そっか…。とりあえず、不本意だけど桐生に感謝だな。」
ん?なぜ不本意?
「俺が側にいられたら、良かったのに…。」
健ちゃんが前髪をクシャッとしながら、何かボソッと小さな声で言った。
「え?何、健ちゃん、よく聞こえなかった。」
「なんでもないよ」と笑顔で答えてから、
「…………なぁ、神崎。」
健ちゃんが真剣な眼差しで私の事を見てきたので、一瞬ドキッとする。
「な、なに?」
「…あ、のさ、神崎の好きな奴ってーーー
もしかして………桐生?」
「えっ///⁉︎」
突然の質問に、素直に反応してしまう私の顔色。
「真っ赤だな、神崎って分かりやすすぎ。
……そっか、文化祭の時の彼氏って…やっぱり桐生か。
アイツ、超イケメンだったのな。」
フッと苦笑いしながら健ちゃんが言った。
「健ちゃんっ、お願いっ。この事は他の人には言わないでっ。」
私は健ちゃんの腕をガシッと掴み懇願する。
「大丈夫、安心しろ。誰にも言わないよ。」
そう言って、健ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「ありがとう…健ちゃん。」
ホッとして笑顔で私が言うと、健ちゃんも笑顔で返してくれる。
健ちゃんのこの笑顔にはいつも安心させられる。
しばらくの間、健ちゃんと2人でベンチに座って話したあと、私は「そろそろ戻ろっか?」と言ってベンチを立とうとした。
「待ってくれ。」
そっと健ちゃんが私の手首を掴み、切なそうな表情で私を見上げる。
「神崎は…さ、桐生と付き合って…側にいて幸せ?」
「えっ///⁉︎ なに、どうしたの?健ちゃん///」
「いいから、答えて。」
「……実は、桐生とは付き合ってないんだ。ちょっと色々あって、桐生が彼氏役をしてくれてるだけ。
私が勝手に桐生のこと好きなだけで、あっちは私のこと恋愛対象として見てないんだ。
でも、私は桐生の側にいれるだけで幸せ…って思ってる。
まぁ……私のこと好きになってくれたらいいなとも思ってるけど…///」
「…そっか、、、分かった。俺は神崎のこと応援するよ。」
健ちゃんは私の手首を離し、ベンチから立ち上がって笑顔で言った。
「じゃ、戻るか。」と教室へ向かって歩き出した健ちゃんのあとを、私は少し照れながらついて行った。
翌朝、教室に入るなり私はまた囲み取材を受けていた。
「萌香ちゃんっ、昨日、桐生くんと抱き合ってたって本当っ⁉︎」
「イケメン彼氏とは別れちゃったのっ⁇」
私は皆んなの勢いに圧倒されて何も言えないでいた。
昨日のアレ、誰かに見られてたんだっ。
何て説明したらいいんだろうっ⁇
頭の中で昨日の出来事がグルグルと回るだけで、全然まとまらないでいると、皆んなの体の隙間から手がニョキッと出てきて私の腕を掴み、輪の中から引っ張り出した。
「走るぞっ!」
そう言って、その人は私の腕を掴んだまま教室から飛び出した。
ーーーーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーーーーー
ーーーーーーーーーー
裏庭まで来て、その人はやっと私の手を離してくれた。
「はぁ、はぁ、はぁ……。」
「大丈夫か?神崎。」
私は全力疾走でメチャ息切れしているのに、全くと言っていいほど彼は息切れしていない。
さすが…バスケ部のエース。
「はぁ、はぁ…、う、ん。ありがとう、健ちゃん。」
私を囲み取材から救ってくれたのは、健ちゃんだった。
私はフゥと深呼吸をして息を整える。
「また、助けてもらっちゃったね。」
「お前、最近、囲まれすぎっ。」
「あははっ、本当だね。」
「凝りないな」と言いながら健ちゃんがベンチに座ったので、私もその隣に座った。
「ーーで、今度は何があったんだ?」
「うーん…、昨日さぁ、実は桐生と一緒に帰ったんだよね。
た、たまたまだよっ///陽葵にドタキャンされちゃったからっ///」
「へぇ…桐生と一緒にね…。
ーーで?一緒に帰ったくらいじゃ、あんな大騒ぎになってないだろ?」
ゔ…今日の健ちゃん、なんだかいつもより突っ込みが厳しい…。
「……で、ですね、、少しの間だけ私ひとりになった時があって、ナンパ?されちゃいまして…。
声掛けてきた人が、なんとあのチャラパーマだったんだよね。」
「えっ⁉︎あの文化祭の時のムカつく野郎かよっ?」
「そうなんだ。それで私が車に引きずり込まれそうになってた時に、桐生が帰って来て助けてくれたの。
………凄く怖かった。
そんな私の気持ちに気付いた桐生が、抱き締めて慰めてくれたんだ///
たぶん、その場面だけを誰かに見られてたんだね。」
「そっか…。とりあえず、不本意だけど桐生に感謝だな。」
ん?なぜ不本意?
「俺が側にいられたら、良かったのに…。」
健ちゃんが前髪をクシャッとしながら、何かボソッと小さな声で言った。
「え?何、健ちゃん、よく聞こえなかった。」
「なんでもないよ」と笑顔で答えてから、
「…………なぁ、神崎。」
健ちゃんが真剣な眼差しで私の事を見てきたので、一瞬ドキッとする。
「な、なに?」
「…あ、のさ、神崎の好きな奴ってーーー
もしかして………桐生?」
「えっ///⁉︎」
突然の質問に、素直に反応してしまう私の顔色。
「真っ赤だな、神崎って分かりやすすぎ。
……そっか、文化祭の時の彼氏って…やっぱり桐生か。
アイツ、超イケメンだったのな。」
フッと苦笑いしながら健ちゃんが言った。
「健ちゃんっ、お願いっ。この事は他の人には言わないでっ。」
私は健ちゃんの腕をガシッと掴み懇願する。
「大丈夫、安心しろ。誰にも言わないよ。」
そう言って、健ちゃんは私の頭を優しく撫でてくれた。
「ありがとう…健ちゃん。」
ホッとして笑顔で私が言うと、健ちゃんも笑顔で返してくれる。
健ちゃんのこの笑顔にはいつも安心させられる。
しばらくの間、健ちゃんと2人でベンチに座って話したあと、私は「そろそろ戻ろっか?」と言ってベンチを立とうとした。
「待ってくれ。」
そっと健ちゃんが私の手首を掴み、切なそうな表情で私を見上げる。
「神崎は…さ、桐生と付き合って…側にいて幸せ?」
「えっ///⁉︎ なに、どうしたの?健ちゃん///」
「いいから、答えて。」
「……実は、桐生とは付き合ってないんだ。ちょっと色々あって、桐生が彼氏役をしてくれてるだけ。
私が勝手に桐生のこと好きなだけで、あっちは私のこと恋愛対象として見てないんだ。
でも、私は桐生の側にいれるだけで幸せ…って思ってる。
まぁ……私のこと好きになってくれたらいいなとも思ってるけど…///」
「…そっか、、、分かった。俺は神崎のこと応援するよ。」
健ちゃんは私の手首を離し、ベンチから立ち上がって笑顔で言った。
「じゃ、戻るか。」と教室へ向かって歩き出した健ちゃんのあとを、私は少し照れながらついて行った。