メガネの王子様
振りまわされそうです
放課後の今、私は本日2回目のフリーズ中です。
なぜかというとーーー
「神崎さんっ、一緒に帰ろう。」
昼間のサラサラ茶髪の彼が放った、この一言が原因です。
彼はとても人気のある人みたいで…
2-Aの教室は現在、黄色い声がいろんな所であがっております。
「あの…なんでそうなったんですか?清宮先輩。」
えっと…私、お昼休みにちゃんとお断りしましたよね?
「とりあえず友達から始めて、オレのこと知ってもらおうと思って。」
ニコッとお日様のような笑顔で「ヨロシクね」と爽やかに言った。
隣にいた陽葵が私に小声で「どういうこと?」と腕を引っ張ってくる。
私はこっちが聞きたいよと心の中で思いながら苦笑いを返した。
でも、まぁ、全く清宮先輩のことを知らないのは事実だし、友達としてだったらいいかな?
陽葵に「また明日、説明するよ」と伝えてから清宮先輩と一緒に帰ろうとしたらーーー
「なに、堂々と2年の教室に入って来てるんっすか?清宮先輩。」
健ちゃんが清宮先輩から私が見えないように立ち塞がった。
「健ちゃん?」
「神崎は黙ってて。」
いつも穏やかな健ちゃんが、なぜか苛立っているのが分かる。
どうしたんだろ?
いつもの健ちゃんらしくない。
「おー、健人、久しぶり。元気してた?」
え?なに?健ちゃんと清宮先輩って知り合いだったの?
「元気っすよ。今日は神崎に何の用っすか?」
「なに怒ってんの?神崎さんと一緒に帰ろって言ってるだけだよ。ね?神崎さん。」
ヒョコッと健ちゃんの横から顔を出した清宮先輩。
お茶目な感じで、ちょっと可愛いかも?
「…はい。」
「ほら、聞いた?何か問題ある?健人。」
ニコッと笑い、清宮先輩は健ちゃんと肩を組んだ。
「神崎さんにとってオレは、お前と同じ友達レベルだから安心しろよ。」
「絶対に手を出さないで下さいよっ。」
「ハハ…友達の間は出さないよ。」
健ちゃんは肩に回されている清宮先輩の腕を退けて私の方に振り返る。
「神崎、気を付けて帰れよ。何かあったら直ぐに連絡して。」
「…うん、わかった。」
「じゃあな」と言って健ちゃんはスポーツバックを持って教室を出て行った。
何かってなんだろう?
変な健ちゃん…。