メガネの王子様
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大通りに面しているカジュアルなオープンカフェにいる私。
目立つ………
さっきから周りの視線を痛いくらいに感じる。
「神崎さんって意外と大人しいね。」
私の前に座っている清宮先輩が、アイスカフェオレを飲みながら言った。
制服でオープンカフェというのが目立つのではなくて、この人と一緒だから目立っているんだ、きっと。
「別に大人しくはないですよ。まぁ、先輩ほど弾けてはないですけど。」
「オレって弾けてるように見えるんだ。ん〜…昔はそんな感じだったけど、今は違うよ。」
終始ニコニコと笑顔の清宮先輩。
イケメンで愛想も良くってモテるのに、どうして私なんだろ?
「あの…どうして私なんですか?」
率直に疑問に思っていることをぶつけてみた。
「スゲー直球。そういうところもオレ好みだけど。」
「か、からかわないで下さいっ///」
面と向かって甘い言葉を言われ慣れてない私は耳まで熱くなる。
「すぐ赤くなるところも可愛い。でも、やっぱ食べてるときの顔が1番好きかな?」
食べてるときの顔?
なんのフェチですか?それは。
「前に学校の中庭で友達とランチしてるのを見かけたんだ。そのときの美味しそうに食べてる顔がスゲー可愛くて一目惚れしたんだよね。」
中庭でのランチは記憶にある。
あのとき、たしか陽葵がお弁当を作ってきてくれて、嬉しくて、しかも美味しくて、ずっといつも以上のテンションだったのを覚えている。
そっか、あれを見られてたんだ…。
「ねぇ、オレってなんでフラれたのかな?神崎さんって好きな人でもいるの?」
清宮先輩が可愛く首を傾げながら、私の顔を覗き込んできた。
この人って、本当にときどき可愛い仕草するなぁ///
キラキラしてて、可愛くて、とても素敵な人なんだ、清宮先輩って…。
「好きな人は居ませんよ///」
そう答えておきながら、なぜか頭の中に桐生の顔が浮かんでくる。
なんで、あのモサ眼鏡の顔なんか浮かんでくるのよっ///
もぉっ!わけの分からないキスなんてしてくるからだっ///
私はモサ眼鏡の残像を消すかのように、頭を激しく横に振る。
「神崎さん?大丈夫?」
あ…しまった。
清宮先輩の前だって忘れてた。
「だ、大丈夫です。」
「プッ、神崎さんって面白いコだね。より好きになったよ。友達ってとこから始めるけど、グイグイ攻めていくから覚悟しといてね。」
「えっ///⁉︎」
「その反応、ほんと可愛い。」
「恥ずかしいので、もぅ、やめて下さいよ///」
清宮先輩の可愛い攻撃に、免疫のない私はアタフタするばかり。
カッコ悪…
「あ、オレ、飲み物無くなっちゃった。何か新しい物を買ってくるけど、神崎さんは何かいる?」
「いえ、大丈夫です。」
「そ?じゃ、ちょっと待っててね」と言って清宮先輩は席を外した。
「はぁぁぁ……。」
私は大きな溜息をついて丸いテーブルに突っ伏す。
清宮先輩ってさすが女慣れしてるなぁ…。
こっちがアタフタしてばかりだ。
あんなイケメンに真っ直ぐ見つめられて、甘い言葉を何度も言われると心臓がもたないよ…。
「疲れた…。」
「なに、生意気なこと言ってんの?この女。」
明らかに敵意を感じる言葉を、頭上から投げかけられた。
突っ伏していた頭を上げ、声がした方に視線を向ける。
自分と同じ制服の女の人が3人、私の前で腕を組み仁王立ちしていた。
リボンの色が緑だから3年生か…。
「あんたさぁ、ちょっと清宮くんに構ってもらってるからって調子に乗ってんじゃないわよっ。」
いかにもボスキャラって感じの長い茶髪の女が、私を睨みつけ威嚇してくる。
「別に調子に乗ってませんけど。」
ってか誰よ?
どこから湧いて出てきたの?この人たち。
「はぁ?その態度っ!めちゃムカつくんですけどっ‼︎」
バンッと鞄でテーブルを叩きつけられ、まだ飲んでいる途中だったハーブティーが溢れ、私のスカートにかかった。
「ちょっと!何するのよっ‼︎」
私が椅子から立ち上がり反撃しようと思った瞬間ーーーーー
スッと後ろから伸びてきた腕に優しく抱きしめられる。
「俺の彼女、あんまりイジメないでくれる?」
え?彼女って?
清宮先輩?
ううん、違う。
この甘くて魅惑的な低音ボイスの持ち主はーーーーーーーーーーーーーー
桐生 櫂……だ。
私はパッと振り向き確かめる。
あ………眼鏡を外してるイケメンバージョン。
庇ってくれてるのは嬉しいけど、あんた私の彼氏でもなんでもないじゃん。
「なに言ってんの?彼氏…モゴモゴ…。」
桐生は私の口を抑え、魅惑的な低音ボイスで「黙ってろ。」と耳元で囁いた。
その声にトクンッと心臓が大きく波打ち、私は抵抗できなくなる。
桐生は大人しくなった私の口から手を離し、再び視線を目の前の3人に向けた。
「じゃ、彼女、連れてくんで。」
ニコッと笑顔で挨拶してから私の手を取りお店を出て行く。
私に絡んできた3人は、桐生の笑顔に見惚れてしまって身動きひとつ出来ないみたいだった。
ぐいぐいと私の手を引っ張り歩いていた桐生は、お店が見えなくなったところで手を離す。
「どうして、助けてくれたの?」
「なんでだろうな、俺もわからねぇ。ただ、あの女がムカついたのは確かだね。」
桐生はカーディガンのポケットから出した眼鏡を掛けて、整っていた髪をクシャクシャとしていつものモサ眼鏡の姿に戻った。
「眼鏡、外した状態で良かったの?」
眼鏡を外した姿を見られるのが嫌だって言ってたのに…。
「あの場合、眼鏡ないバージョンの僕の方が説得力があるでしょ?」
「そうかも知れないけど…。」
眼鏡無しの状態を見られなくないって、何か理由があるんでしょ?
それなのに、私なんかの為にバラしちゃうなんて…
納得していない私の様子を見て桐生は「気にしないで下さい」とニコッと笑って去って行った。
なんなのよ……
昼間はあんなに強引にキスして…脅迫まがいなことまで言っておいて。
なのに………
私が絡まれてるのを無視しないで助けたりなんかしてさ。
一体、なにがしたいのよ。
ばか…………///
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大通りに面しているカジュアルなオープンカフェにいる私。
目立つ………
さっきから周りの視線を痛いくらいに感じる。
「神崎さんって意外と大人しいね。」
私の前に座っている清宮先輩が、アイスカフェオレを飲みながら言った。
制服でオープンカフェというのが目立つのではなくて、この人と一緒だから目立っているんだ、きっと。
「別に大人しくはないですよ。まぁ、先輩ほど弾けてはないですけど。」
「オレって弾けてるように見えるんだ。ん〜…昔はそんな感じだったけど、今は違うよ。」
終始ニコニコと笑顔の清宮先輩。
イケメンで愛想も良くってモテるのに、どうして私なんだろ?
「あの…どうして私なんですか?」
率直に疑問に思っていることをぶつけてみた。
「スゲー直球。そういうところもオレ好みだけど。」
「か、からかわないで下さいっ///」
面と向かって甘い言葉を言われ慣れてない私は耳まで熱くなる。
「すぐ赤くなるところも可愛い。でも、やっぱ食べてるときの顔が1番好きかな?」
食べてるときの顔?
なんのフェチですか?それは。
「前に学校の中庭で友達とランチしてるのを見かけたんだ。そのときの美味しそうに食べてる顔がスゲー可愛くて一目惚れしたんだよね。」
中庭でのランチは記憶にある。
あのとき、たしか陽葵がお弁当を作ってきてくれて、嬉しくて、しかも美味しくて、ずっといつも以上のテンションだったのを覚えている。
そっか、あれを見られてたんだ…。
「ねぇ、オレってなんでフラれたのかな?神崎さんって好きな人でもいるの?」
清宮先輩が可愛く首を傾げながら、私の顔を覗き込んできた。
この人って、本当にときどき可愛い仕草するなぁ///
キラキラしてて、可愛くて、とても素敵な人なんだ、清宮先輩って…。
「好きな人は居ませんよ///」
そう答えておきながら、なぜか頭の中に桐生の顔が浮かんでくる。
なんで、あのモサ眼鏡の顔なんか浮かんでくるのよっ///
もぉっ!わけの分からないキスなんてしてくるからだっ///
私はモサ眼鏡の残像を消すかのように、頭を激しく横に振る。
「神崎さん?大丈夫?」
あ…しまった。
清宮先輩の前だって忘れてた。
「だ、大丈夫です。」
「プッ、神崎さんって面白いコだね。より好きになったよ。友達ってとこから始めるけど、グイグイ攻めていくから覚悟しといてね。」
「えっ///⁉︎」
「その反応、ほんと可愛い。」
「恥ずかしいので、もぅ、やめて下さいよ///」
清宮先輩の可愛い攻撃に、免疫のない私はアタフタするばかり。
カッコ悪…
「あ、オレ、飲み物無くなっちゃった。何か新しい物を買ってくるけど、神崎さんは何かいる?」
「いえ、大丈夫です。」
「そ?じゃ、ちょっと待っててね」と言って清宮先輩は席を外した。
「はぁぁぁ……。」
私は大きな溜息をついて丸いテーブルに突っ伏す。
清宮先輩ってさすが女慣れしてるなぁ…。
こっちがアタフタしてばかりだ。
あんなイケメンに真っ直ぐ見つめられて、甘い言葉を何度も言われると心臓がもたないよ…。
「疲れた…。」
「なに、生意気なこと言ってんの?この女。」
明らかに敵意を感じる言葉を、頭上から投げかけられた。
突っ伏していた頭を上げ、声がした方に視線を向ける。
自分と同じ制服の女の人が3人、私の前で腕を組み仁王立ちしていた。
リボンの色が緑だから3年生か…。
「あんたさぁ、ちょっと清宮くんに構ってもらってるからって調子に乗ってんじゃないわよっ。」
いかにもボスキャラって感じの長い茶髪の女が、私を睨みつけ威嚇してくる。
「別に調子に乗ってませんけど。」
ってか誰よ?
どこから湧いて出てきたの?この人たち。
「はぁ?その態度っ!めちゃムカつくんですけどっ‼︎」
バンッと鞄でテーブルを叩きつけられ、まだ飲んでいる途中だったハーブティーが溢れ、私のスカートにかかった。
「ちょっと!何するのよっ‼︎」
私が椅子から立ち上がり反撃しようと思った瞬間ーーーーー
スッと後ろから伸びてきた腕に優しく抱きしめられる。
「俺の彼女、あんまりイジメないでくれる?」
え?彼女って?
清宮先輩?
ううん、違う。
この甘くて魅惑的な低音ボイスの持ち主はーーーーーーーーーーーーーー
桐生 櫂……だ。
私はパッと振り向き確かめる。
あ………眼鏡を外してるイケメンバージョン。
庇ってくれてるのは嬉しいけど、あんた私の彼氏でもなんでもないじゃん。
「なに言ってんの?彼氏…モゴモゴ…。」
桐生は私の口を抑え、魅惑的な低音ボイスで「黙ってろ。」と耳元で囁いた。
その声にトクンッと心臓が大きく波打ち、私は抵抗できなくなる。
桐生は大人しくなった私の口から手を離し、再び視線を目の前の3人に向けた。
「じゃ、彼女、連れてくんで。」
ニコッと笑顔で挨拶してから私の手を取りお店を出て行く。
私に絡んできた3人は、桐生の笑顔に見惚れてしまって身動きひとつ出来ないみたいだった。
ぐいぐいと私の手を引っ張り歩いていた桐生は、お店が見えなくなったところで手を離す。
「どうして、助けてくれたの?」
「なんでだろうな、俺もわからねぇ。ただ、あの女がムカついたのは確かだね。」
桐生はカーディガンのポケットから出した眼鏡を掛けて、整っていた髪をクシャクシャとしていつものモサ眼鏡の姿に戻った。
「眼鏡、外した状態で良かったの?」
眼鏡を外した姿を見られるのが嫌だって言ってたのに…。
「あの場合、眼鏡ないバージョンの僕の方が説得力があるでしょ?」
「そうかも知れないけど…。」
眼鏡無しの状態を見られなくないって、何か理由があるんでしょ?
それなのに、私なんかの為にバラしちゃうなんて…
納得していない私の様子を見て桐生は「気にしないで下さい」とニコッと笑って去って行った。
なんなのよ……
昼間はあんなに強引にキスして…脅迫まがいなことまで言っておいて。
なのに………
私が絡まれてるのを無視しないで助けたりなんかしてさ。
一体、なにがしたいのよ。
ばか…………///