メガネの王子様
初デートなんです
今日は約束の土曜日。
健ちゃんと初デートの今日は、とてもお天気がよくて12月だけどポカポカと暖かい。
「今日は晴れて良かったな。」
黒のPコートに白のVネックセーター、デニムに黒のブーツ。
私服の健ちゃんがニコニコとしながら私の前に立っている。
「本当、良かったね。」
私も笑顔で答えた。
「ちょっ///⁉︎」
さっきまでニコニコ笑顔の健ちゃんの顔が、今度はどんどん赤くなっていった。
「ちょ?」
私が首を傾げながら真っ赤な顔の健ちゃんを見上げると、今度は大きな手で顔を覆ってしまう。
「どうしたの?健ちゃん?大丈夫?」
健ちゃんの顔があまりにも赤いので、少し心配になった私は、健ちゃんのおデコに手を当てて熱がないか計ってみた。
「……熱はないね。」
「っ//////。もう、勘弁してくれ。」
「へ?何が?」
「今日の神崎、可愛すぎっ。白のニットワンピでそんな事されたらマジやばい///」
「…………??」
「わからなかったらいいよ/// それより映画に遅れるから急ぐよ。」
「うん?」
「…はい///」
健ちゃんが下の方でグーパーと手を動かしている。
「え?」
「え?じゃなくて…。せっかくのデートだし、手…繋ごうぜ///」
「えっ///⁉︎」
「捕まえた」と私の手をぎゅっと握りしめ、ニッコリと笑った健ちゃんは耳まで赤くなっていた。
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映画館に着いて「ちょっと待ってて」と健ちゃんに言われ、私はひとりでパンフレットなどが売られている場所で見ながら待っていた。
「その映画好きなの?」
突然、知らない男の人に声をかけられ、無視するのもどうかと思い「はい」とだけ言う。
「オレも好きなんだよね。気が合いそうだねオレ達。良かったら今度、一緒に映画、観に行かない?」
は?なんでそうなる?
「結構です。」
「そんなこと言わずにさ。オレの奢りで、ね?」
いい人そうだと思ったけど、なんかこの人想像以上にしつこい…。
「お兄さん、俺の彼女になんか用っすか?」
急に健ちゃんの声がしたと思ったら、後ろから肩を抱きしめられる。
何も言わず黙っているお兄さん。
「なんか用?って聞いてるんだけど。」
健ちゃんの聞いたこともないような低い声に、目の前にいるお兄さんの顔色がどんどん悪くなっていき、回れ右をしてスタスタとどこかへ行ってしまった。
健ちゃんが私の肩にあった腕を前に回して、ぎゅっと両腕で力強く後ろから抱きしめた。
「マジで勘弁してよ。少し離れただけなのにナンパなんて普通されるか?」
「健ちゃん?///」
「あーっ!もう!心配で離れられないっ。悪いけど飲み物とか買うのに一緒に並んで。」
そう言って健ちゃんは私の手を掴み引っ張って行く。
「健ちゃん…怒ってるの?」
私が頼りないから変な人に声かけられちゃって…健ちゃんに迷惑かけちゃった。
「怒ってるんじゃなくて…困ってる。」
健ちゃんが眉を下げながら私に言った。
やっぱり迷惑かけちゃったんだね…
「ゴメンね?」
「そうじゃなくて…。」
コホンッと咳払いを一回した健ちゃんは少し照れながら
「神崎が可愛すぎて…目が離せなくて困ってる///」
「えっ///⁉︎」
「だから…今日はずっと神崎の手、離さないから///」
そう言った健ちゃんは映画を観ているときも、ずっと私の手を握ったまま離さなかった。
今日の健ちゃんには、なんだかドキドキさせられっ放しだーーー。