メガネの王子様
*****



「お前のことが好きだ。」



思いもしなかった突然の告白に、私は頭が真っ白になり呆然としていた。

だって…

嫌われてると思ってたから。

もう、元には戻れないと思ってたから。

「神崎、俺を選んで。」

桐生が縋るような瞳で私を見つめ、そっと優しく私の頬に触れた。

久しぶりに間近で見る桐生の瞳はやっぱりとても綺麗で…

自然と吸い込まれていく。

「誰にも渡したくない。ずっと俺の傍にいて。」

私は幸せすぎて何も言葉が出なくて、コクンと頭を縦に振ることしか出来なかった。

「…マジで?」

桐生が信じられないとでもいうような表情で私を見て言った。

「い、嫌だったらいいよっ///」

「嫌なわけねぇだろっ。っつーか嬉しくて仕方ねぇよっ///
でも、お前……町田と付き合ってるんだよな?」

「…健ちゃんとは別れた。ーーーというか振られた。」

「町田が?ありえねぇ…。」

「健ちゃんは、私の気持ちを優先してくれたの。」

「……へぇ、お前の気持ちって?」

急にいつもの意地悪な顔に戻った桐生は、私をぐっと抱き寄せ顔を近づける。

桐生ってば絶対に分かってて聞いてるっ///

「い、言わないっ///」

桐生の何もかもが近すぎてドキドキするし、恥ずかしいしで私は顔を横に逸らした。

「言わねぇとお仕置きすんぞ。」

桐生が私の顎にそっと手を添え正面を向かせる。

また綺麗な顔がすぐ目の前に見えて、私の心臓は壊れそうなくらい大きな音を立てた。

お、お仕置きって⁉︎まさかっ///

キ、キ、キスっ///⁉︎

「反抗的な態度をとったらお仕置きって、俺、前に言ってたよな?」

片方の口角だけあげて笑った桐生。

「わ、わかった///言うからっ、ちょっと待ってっ///」

「無理、待てない。」

そう言った桐生は、私の顎をくいっと持ち上げ強引に唇を奪った。

何度も角度を変えて重ねられる唇に、私は翻弄されていく。

「…ん、ぁ…はぁ…、ん…」

桐生にコロコロと口の中を弄ばれ、足元から崩れそうな私を逞しい腕が支える。

「…やっぱ聞きたい。言って?」

唇が離れたと思ったら、今度はまたそんなことを言い出した桐生。

「……ぇ?///」

「神崎の気持ちが聞きたい。言って?」

「さ、さっき、言おうとしたら桐生が邪魔したんじゃん///」

なんかこのまま素直に「好き」って言ったら負けのような気がする。

「なに?俺が朝からスゲー目にあったのに言ってくれねぇの?」

「そ、そんなの眼鏡、外してくるから悪いんじゃん。」

「俺、お前のために外してきたんだけど?」

「そ、そんなの全然私のためになってないよっ。」

「え?」

だって、眼鏡を外したイケメンバージョンの桐生は私だけが知っておきたい。

本当は口が悪くて意地悪で…

でも優しくて、いつも助けてくれて…

そんな桐生の特別でありたい。

「私の前以外で眼鏡を外さないで。」

私は桐生の首に手を回し、そっと引き寄せ耳元で囁く。




「桐生のことが大好きだよ///」





だから、私だけのメガネの王子様でいてね♡






☆END☆
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