桜戯
そんなこんなで1時間目が始まったわけだけど、ここは超が付くほどの不良校だから誰ひとり真面目に聞く奴がいない。
まぁ私も全然聞いていないんだけどね?
ああ、でも現社だけはみんなしっかり聞いてる。だって担任が來貴だから。流石に元桜戯には誰も逆らえないよね。
私は例外だけど!
今日は來貴の授業がないから多分ずっと騒がしいな…だから寝よう!
と思った拍子に隣にいる遥山に話しかけられてしまった。
「おい、おまえ桜稀ってやつを知っているか?」
桜稀?桜戯じゃなくて?
たいてい聞かれるのは族の名前である桜戯の方。だから通り名である桜稀を聞かれるのは珍しい。
「なんでそんなこと聞きたいの?」
「いいだろ別に。」
「知らない。」
私なんだけどね~なんて言わない。
さっきまでは関係ないと思っていたのに、私のことを探しているとなると今後注意していかなきゃいけなくなる。
「だよな。そんな地味なお前が知っているわけないよな。」
うん、ふつーにカチンとくるよね?
見た目で判断するとか…でもまぁ仕方ないよね?今こんな格好だし。
仕方ない仕方ない。