青蓮の紋章
「アベル…離れろ」
さっきまでの怯えていた表情は消え、キッと睨まれる。
「えー?嫌だなぁ。」
そっと首に手を回してみる。
「や、やめ...」
俺の手を払いのけようとする。
「ねぇ?デューク。」
そこで彼の手首を掴む。
「ッ...」
どうやら抵抗はできないらしい。
(あ、一応効いているのか)
相手が自分に依存させる能力を持っている。依存させたい相手と目を合わせることで発動する。
俺が解除するまで効き目は続く。そして、効いてる間は相手の身体のどこかに黒い蜘蛛の巣の紋章が現れる。
(ただ、これは依存だけじゃなくて抵抗も弱くなるんだよねぇ...)
「...。」
手をつかまれて黙ってしまうデューク。
(でも、こいつ...本当に効いてるのか?)
心配になってしまう。抵抗はできないみたいだけど自我はまだ残ってる。
(それとも、こいつは俺の…だからかな)
「デューク、警戒しなくてもいいんだよ?何にもしないからさ、ね?」
彼にほほ笑みかける。
「は?何言ってんのお前。警戒するに決まってんだろ?」
吐き捨てるように言われる。
「第一お前とは初対面だしこんな立派な所に住んでいるし、どう考えてもお前は貴族かなんかだろ。」
掴んでいた手を離される。
「へぇ、頭の回るやつだったとはな。」
皮肉じみたことを言って鼻で笑う。
「ちっ...アベルふざけんなよ…ッ!」
途端に彼は胸を抑えて苦しみ出した。
「うぁ...やだやだ、嫌だ...
血 な ん て い ら な い」