青蓮の紋章



「そうだったんだぁ…」

帰りの道、隣でミカロルが感嘆の声を漏らしていた。

(お?伝説を信じてくれるようになったか?そうだといいけどな…)


「…でもさ」

急に歩みを止めたミカロルは言った。


「500年もの間何も起こらなかったろ?
やっぱ、迷信だよ!」

「結局そうなるのかよ!」

呆れた俺はミカロルを小突いた。

「何年の間にだったら伝説だと思うんだよ?」

「うーん……10年?」

「...。」

(そんなに短いのかよ、そして青蓮は100年おきなんだけどな…)



「あ、デューク
これでも長めに言ったんだぞ?」



「あのなぁ、ミカロル…ッ…」

言いかけたその時、鈍い痛みが俺の頭を襲った。

「どうした?デューク?」

我に返ったデュークは誤魔化すように大丈夫だと伝え、その場で別れた。





「ッ...はぁ…危ないところだった…」

雲行きが怪しくなり、ついには小雨が降り始めた。

(...雨、か…)

灰色の空を眺めながら帰路についた。

 

家に着きドアを締めると、ドアにもたれかかった。

「ッ...くそが…」

濡れた銀色の髪をかきあげながら、その場に座り込む。


(血を飲みたい、なんて...)


________

< 7 / 24 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop