(仮)【Dolls】
この人、今初めて会った名前も知らない人なのに、見知らぬ女によくここまでできるな…。


(誰か、助けて!!)



そう思っても、痴漢を見ても見ぬふりのこんな世の中じゃ、誰も助けてはくれないんだよね。

自分の身は自分で守るしかないんだ。


「あっ…もぉ時間ヤバいから行かなきゃ!!」

あたしが、冷静にそう言うと、男が我に返った。

でも、立ち上がるとまた抱きしめてきた。

(なんなんだこの男はあたしは人形やぬいぐるみじゃない。あたしは人間なんだから!!心があるんだから!!!)

そう思った瞬間、過去の恋愛が一瞬浮かんできた。
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