宛名のないラブレターをキミに
ちら、ちら。

さっきから目線が本とその"モノ"を行ったり来たりしている。


いつもなら周りが見えなくなるほど本に没頭してしまうのだが、今日は全く持って集中できていない。

本が悪いわけではない。
はじまりから惹き込まれるほどすごく面白いのだ。



じゃあ何故集中できないのか、なんて答えは1つに決まっている。 




「なにそれ手紙?」

「ぎゃあ!!」


じっとその"モノ"を見つめている私に背後から声をかけられ思わず叫んでしまった


慌てて周りを見渡すが、誰もいないことにほっと一息をつく。
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