宛名のないラブレターをキミに
よく考えてみれば抱きしめられたようになってたんだよね…。


走って冷ましてきたはずの熱が戻ってきた。


「きゃー!なにそれ王子様みたいじゃん!」

相変わらず恋愛系の話が好きな真由はきゃあきゃあ言っている。

王子様みたいっていうか…

王子なんだよな…。



微妙な顔をした私に気づいたのか、だれだれ!と尋ねてきた。
3人から少し期待のこもった目で見られ、言うのを少し躊躇う。


「王子…なんだよね、それが」

「え、あの王子?」

「…なにそれ本物の王子様じゃん!」


吃驚したようにこちらを見る2人と


「あんただったの…」
と頭に手を置き、やれやれとしたようにこちらを見る悠里。
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