宛名のないラブレターをキミに
そんな私を見てはぁ、と1つため息をつき、今度は絶対零度の笑みとはまた違う呆れた視線を向けられた。

そんな視線とともに悠里は陽菜に疑問を投げかける。


「なんで寝不足だったの?」

「それはあの手紙…あ!」


彼女の疑問に答えようとして、あの手紙の存在を思い出す。

「手紙…って昨日の?」

「そう!ごめん用事できた!」

「ちょっ…!」


そうだ。私は手紙の返事を待っていたのだった。

悠里が何か言いかけていたが、その言葉を聞かずして教室を出ていく陽菜。
その彼女の顔はまるでおもちゃを楽しみに待つ子供のようだった。
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