宛名のないラブレターをキミに

5

あの後、手紙がなかったことに肩を落としながらも教室に帰った陽奈を待っていたのは、さっき陽奈がふりきってしまった友人、悠里だった。

「安静に、って言ったはずなのになぁ…。」
「ご、ごめんなさい!
ちょっと気になることがあって…。」


見てわかるほどに怒っている悠里に陽奈は慌てて謝りつつも、その理由を告げる。

すると、いつものように「はぁ…」と呆れたようなため息をつきながら、これもまたいつものように話を聞いてくれる体制になった。


「で?気になることって何だったの?」


そう尋ねられた陽奈は、今しがた自分が図書館から肩を落として帰ってくることになった理由を思い出した。
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