運命は硝子の道の先に

「……っ、そうだ、よね」

「でも、言ったでしょ。私は一花の親友、いつでも味方だって」

「…………結衣」

「一花はどうしても傷付かないと済まないみたいだから。私もこれで最後にしたいと思うけど、どうしても気になるの。一花、ヒロさんに気持ちはなかったの」

「な、前にも言ったでしょ。ヒロのことは男として見てな、」

「見てるよ、一花。見てる。私には分かるよ、親友だからね」

「……」

「認めるも認めないのも一花の勝手だよ。でも一花は自分に嘘を吐いてまで、男にしがみつくような、そんな人間だったの」

「……」

「もっと素直になりなよ」

 結衣の瞳が鋭く私を貫く。しかし、その目はほんの少し潤んで、赤くなっていた。

 ……本気で思ってくれている人に嘘で返すなんて、私は本当に馬鹿だな。

 きついこと言ってごめんね、と一言。
 結衣はピンクベージュの髪をふわりと揺らし、去っていった。

 その日、彼女は帰ってこなかった。
 それが最初で最後。結衣が講義を無断欠席した日となった。

 私は一人講義を受けながら、ずっと結衣の言葉を考えていた。

 確かにヒロに心が動かなかったと言えば嘘になる。
 でも、蓮を想っている気持ちも本物だ。

 否定しようもない矛盾。
 結衣の言う通り。どちらかを受け入れても、私は嘘吐きだ。

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