甘い媚薬はPoison
「朝比奈、愛梨ちゃんの席に彼女の荷物がまだあった。パソコンもまだ電源オフにはなってなかったし……」
「じゃあここにいるんだな……多分」
杉山と手分けをして会議室やトイレを探す。他のフロアも探してみたが、愛梨の姿はどこにもなくて一旦彼女の席に戻る。
杉山も俺の後から来て目で彼に愛梨を見つけたか問うと、彼は頭を振った。
またスマホを取り出し愛梨にかけるが、彼女のバッグの中からスマホのバイブ音が聞こえ、杉山と顔を見合わせる。
「これじゃあ連絡取れないな。一体どこに……?」
「バッグとスマホを置いて外出するとは思えないよ。……これだけ探していないとなると、なにか事件に巻き込まれたんじゃない?捜索願い出す?」
深夜に姿を消すなんてただ事じゃない。
杉山の言うようになにか事件に巻き込まれたと考えるのが妥当だ。
どこへ行った、愛梨?なにかあったのか?
誘拐?それとも監禁?
最悪の事態が頭を過り、気が気じゃなかった。
髪をかき上げながら彼女の行きそうな場所を考える。
落ち着いて考えるんだ。
まだ探していないところはないか?
不意に愛梨の席の近くの壁にかかっている倉庫の鍵が目に入った。
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