甘い媚薬はPoison
自分の不甲斐なさに悔しくて涙が込み上げてくる。
「お前……本当に馬鹿だな」
蓮くんはそんな私をまじまじと見つめ、溜め息混じりの声で言う。
いつもの彼だ。私に心底呆れてる。
あの香水をつけているのに、私に夢中になるとかそういった様子は全くない。
やっぱり……香水に媚薬の効果なんてないんだ。おじいちゃんの冗談だったのかも。
誘惑作戦は失敗だ。
ホント……私、馬鹿だね。
唇を噛んで涙を必死に堪えようとするが、目から涙がポロポロこぼれ落ちて蓮くんのシャツを濡らす。
彼に突き飛ばされる前に帰ろう……そう思った時だった。
「泣くな」
いつになく優しい蓮くんの声が耳に響いたと思ったら、彼の胸に抱き寄せられた。
「蓮……くん?」
ビックリして蓮くんを見れば、彼はポンポンと昔やっていたように私の頭を軽く叩く。
「落ち着けよ。怒って悪かった」
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