甘い媚薬はPoison
服がはだけて、肌に触れる空気が冷たかった。
蓮くんはブラと胸の間に挟んだスマホを無造作に掴むと、スマホはどうでもいいのかポイッと床に放り投げる。
「俺を誘惑するために来たんだろ?人を煽っておいて逃げるな」
薄暗い部屋の中、蓮くんの瞳がキラリと光る。
その瞳は欲望に満ちていた。
これは……媚薬が効いてるの?
「どうなっても知らないからな」
蓮くんは怒気を含んだ声で警告すると、メガネを外してベッドサードのテーブルに置く。
「蓮くん……?」
これからなにが起こるかわかってはいても、この状況が信じられなくて彼に聞かずにはいられなかった。
ドッドッドッと心臓の音が激しく鳴っている。きっと彼にも聞こえているに違いない。
「れ、蓮くん、正気?」
自分が誘ったのに、震える声で確認してしまう。
「冗談ですることじゃないだろ」
静かな声で返されたけど、いつもと違う彼に戸惑ってしまう。
「お、落ち着いて。ひょっとしたら媚薬が――」
「落ち着くのはお前だ」
香水のことを打ち明けようとしたら、蓮くんにいきなり唇を奪われた。
もう自分でもなにがなんだかわからない。
彼はキスをしたまま私の下着をあっという間に取り去り、自分の服を脱いで覆い被さってきた。
私の肌を探る手。重なる身体。
自分に起きていることが現実とは思えなかった。
まるで夢を見ているかのよう。
最初は冷たく感じた空気が炎のように熱く感じた時、頭の中は真っ白で……。
初めて知る痛みも、彼が一緒なら苦ではなかった。
性急に蓮くんに身体を求められ、ただ必死に応える。
何度彼の名を呼んだかわからない。
「……蓮くん……好き」
蓮くんの首に腕を絡めて告白すると、彼は動きを止めハッとした表情で私を見下ろす。
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