甘い媚薬はPoison
「愛梨……」
それから、彼の動きが変わった。
私の反応をひとつひとつ確認するように愛し、身体中にキスを落としていく。
そんな慈しむような愛し方があるなんて初めて知った。
夢ならどうか覚めないで。
甘美な愛撫に身体が歓喜で震えるが、心は何故か満たされなかった。
ずっと彼に抱かれたいと願っていたのに……。
抱き潰されて、意識が遠くなる直前に「愛してる」って蓮くんが囁くのが聞こえた気がしたが、それは嘘だと思った。
なぜなら蓮くんの本心ではないことを私は知っている。
きっと媚薬が彼にそう言わせたのだ。
私はとんでもない間違いを犯してしまったのかもしれない。
胸がチクンと痛むのを感じながら、私は意識を手放した。


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