甘い媚薬はPoison
同じ職場に彼がいるのが厄介になるなんて……。
「これからどうしよう……」
頬杖をつきながら溜め息をつく。
混乱した頭で考えてもいい解決方法なんて見つからない。
頭が真っ白のままボーッと窓の外を眺めていたら、いつも七時にセットしてあったスマホのアラームが鳴った。
ハッとして慌ててアラームを解除する。
「そうだ。蓮くんから電話かかってくるかもしれない」
蓮くんからの連絡が怖くてスマホの電源も切った。
「……七時かあ」
会社の始業時間は九時で、まだまだ時間がある。
コーヒーを口に運ぶが、すっかり冷めていて飲めたものではない。
「マズッ……」
吐き出しそうになるのをなんとか堪え、ゴクゴクッと飲み干す。
昨日の夜から何も食べていないのにお腹は空かない。
ここにずっといるのも退屈で、かなり早いが店を出て会社に向かうことにした。会社は徒歩で十分ほど。
会社に着くと、予想はしていたが誰もいなかった。
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