甘い媚薬はPoison
『そ、そ、それは赤ちゃんの頃の話でしょう!』
動揺しまくりの私は声を荒らげた。
顔の熱が一気に上がる。病気のせいなのか、恥ずかしさのせいなのかわからない。
『たいして成長してないんじゃないか?』
蓮くんはからかうような目でマジマジと私を見る。
暗に私が幼児体型と言っているのだ、この失礼な男は。
『煩い!これからセクシー美女になるんだもん』
布団を身体に巻き付けると、私は蓮くんを睨み付けた。
『へえー、それは楽しみだな』
抑揚のない声で蓮くんに軽くあしらわれる。
『信じてないのね?見てなさいよ。絶対に世の男を悩殺する美人になってやるわよ!』
『はいはい。世の男どもを幻滅させないよう精々頑張れ』
蓮くんはポケットからスマホを取り出し、適当に返事をする。
彼の態度にムカついた私は、布団を被ってふて寝した。
でも、蓮くんは私のそばにずっとついていてくれたらしい。
次に目覚めた時も、彼は私のそばにいて本を読んでいた。
「蓮くん……?」
ハッと目が覚める。
辺りを見渡すが、部屋には誰もいない。
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