甘い媚薬はPoison
それは、私が高校生の時に蓮くんに言われた言葉だ。
その時はそれほど悲観的にはならなかった。大人になったらセクシー美女になって必ず蓮くんを振り向かせてみせるって心に誓ってたから。
思えばあの頃の自分は、凹むってことがなかったな。
きっとそばに蓮くんがいてくれたからだと思う。
二十歳を過ぎて社会人になっても、私はたいして成長していない。
セクシー美女を目指す前にちゃんとした大人になれよって、過去の自分に言いたくなる。
自分では蓮くんを振り向かせることが出来なかったから、あの香水を使った。
祖父が言ったように、彼と甘い夜を過ごしたのだから媚薬効果は確かにある。
でも……暗い闇が私を襲う。
もう自信が持てない。
思考が全部ネガティブになって身動き出来なくなってる。
まるでドス黒い毒が私の脳を侵していくみたい……。
媚薬を使って罪悪感を覚えているのに、それでも……私はまだ彼が欲しい。
彼を諦めきれない。
香水の媚薬の効果は切れている。
悲しいけど、あの香水を使わなければ蓮くんが私を見ることなんてない。
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