甘い媚薬はPoison
「……いいえ。ウジウジ悩むのは嫌いなんですけど、答えが見つからなくて……。杉山さんは……自分の大事なものを諦めたことありますか?」
「大事なものねえ。……あるよ。小学生の頃からプロ目指してテニスやってたんだけど、高校のインターハイの試合で無理して肩痛めてね。プロの道は断念して、それからパソコンにはまって今に至るかな」
杉山さんは目を細め、少し寂しそうに笑った。
「テニス……凄く上手かったんですね。でも、パソコンだって杉山さん詳しいし、相当頑張ったんじゃないですか。私も杉山さんみたいに代わりになるもの見つけられたらいいな」
「愛梨ちゃんはなにを諦めようとしてるの?ひょっとして朝比奈?」
杉山さんにズバリ言い当てられて思わず目を見開くが、否定も肯定もせず私は悲観的な言葉を紡いだ。
「……願いって必ずしも叶うわけではないから」
「そんなこと言うなんて、愛梨ちゃんらしくないな。面接で愛梨ちゃんに会った時、良い子が来てくれて良かったって正直思ったよ。目がキラキラしててさ。朝比奈にも僕にもないもの持ってて羨ましかった」
「杉山さん……」
「朝比奈に振られたわけじゃないんでしょ?」
杉山さんの問いに私は静かに頷いた。
「大事なものねえ。……あるよ。小学生の頃からプロ目指してテニスやってたんだけど、高校のインターハイの試合で無理して肩痛めてね。プロの道は断念して、それからパソコンにはまって今に至るかな」
杉山さんは目を細め、少し寂しそうに笑った。
「テニス……凄く上手かったんですね。でも、パソコンだって杉山さん詳しいし、相当頑張ったんじゃないですか。私も杉山さんみたいに代わりになるもの見つけられたらいいな」
「愛梨ちゃんはなにを諦めようとしてるの?ひょっとして朝比奈?」
杉山さんにズバリ言い当てられて思わず目を見開くが、否定も肯定もせず私は悲観的な言葉を紡いだ。
「……願いって必ずしも叶うわけではないから」
「そんなこと言うなんて、愛梨ちゃんらしくないな。面接で愛梨ちゃんに会った時、良い子が来てくれて良かったって正直思ったよ。目がキラキラしててさ。朝比奈にも僕にもないもの持ってて羨ましかった」
「杉山さん……」
「朝比奈に振られたわけじゃないんでしょ?」
杉山さんの問いに私は静かに頷いた。