甘い媚薬はPoison
児玉くんはカラー印刷された資料を私に見せる。
「うん。大丈夫だよ。児玉くんも大変だね。行ってらっしゃい」
私は児玉くんから笑顔で資料を受け取った。
「ありがと。このお礼は必ず」
児玉くんは営業さんに呼ばれ、言葉少なくオフィスを後にする。
私は自分の仕事を片付けると、児玉くんに渡された資料を持ってコピー機の前に行く。
時刻は午後九時過ぎ。
普通なら五分もあれば終わる作業なのに、コピー機が紙詰まりですぐには使用出来なかった。
「また誰か放置して行っちゃったのね」
ハーッと知らず溜め息が出る。
こういうことは珍しくない。
紙詰まりを除去するのが面倒で、他のコピー機を使う社員が多いのだ。
詰まっていた紙を取り除いたと思ったら、今度はコピーの途中でトナー交換の表示。
予備のトナーと交換しようとしたら、コピー機の近くに新しいトナーはなかった。
代わりに使用済みのトナーが箱に入れられて置いてあって……。
誰か使ったら、総務の人間に知らせようよ。発注もできなくなるじゃないの。
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