甘い媚薬はPoison
でも、蓮くんはそんな私を突っぱねることはなかった。
「そうだな。早く帰ろう」
小さな子に言うように甘い声で蓮くんが言う。その声にホッとして私は彼の胸に頬を寄せた。
「……蓮くん温かい」
笑みを浮かべながら呟くと、私は安心してまた目を閉じた。
すると、蓮くんが私の身体を抱き上げる。
「愛梨、もう大丈夫だから、寝てていいよ」
蓮くんは私に声をかけると、ゆっくり歩き出した。
ゆらゆら、ゆらゆら。
私の身体が揺れる。
揺りかごの中にいるみたいに心地よくて、私はそのまま優しい眠りに誘われた。
< 62 / 124 >

この作品をシェア

pagetop