甘い媚薬はPoison
4、媚薬が効かない理由
目を開けたら、自分の部屋ではない天井が目に映った。
「あれ?」
目を見開きながら天井から壁に視線を移し、辺りを見渡す。
サイドテーブルの上にはペットボトルが置いてあった。
「なんでここにいるの?」
知らず驚きが声になる。
ここは、蓮くんの寝室だった。
部屋の主はすでに起きているのかここにいない。
私がいる横のシーツに手を触れたが、そこは冷たかった。
蓮くんがここで寝たかはわからない。
ふと自分の手に目をやれば、大きな絆創膏が貼られていた。
「これ……蓮くんが貼ってくれたのかな?」
倉庫のドアをずっと叩いていたせいか、手がズキズキして痛い。
昨夜のことを思い出し、恐怖で身体がゾクッとした。
あの暗闇も……床の冷たさも……身体がまだ覚えてる。
どれくらい倉庫にいたのだろう?
ゆっくり上体を起こすと、額に手を当て昨日の記憶を辿った。
「トナー探しに倉庫に行って……電気が消えて倉庫に閉じ込められてたはずなんだけど……なんで蓮くんの部屋にワープしてんの?」
そう言えば……夢に蓮くんが出てきた。
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