甘い媚薬はPoison
「どこからそういう結論になったわけ?愛梨ちゃん、変だよ」
歩くんは驚きの表情で私を見た。
「蓮くんにとって私はずっと手のかかる妹なんだよ」
「昔はそうだったけど、今は違うと思うけどな。兄貴とちゃんと話したの?好きだって伝えた?」
「ううん。蓮くん忙しいし、私も会うのが気まずくて……昨日は寝惚けててまともな会話はしてない……と思う」
蓮くんが助けに来てくれたのも夢だって思ってたし……。
「愛梨ちゃん、もうなにも考えずに兄貴の胸に飛び込んじゃいなよ。それで全部解決するよ」
歩くんは私を元気付けるように微笑む。
「本当に?」
そんな無鉄砲でいいの?
半信半疑で歩くんの顔を見る。
「うん、俺が保証する」
歩くんの弾けるような笑顔に、私の心は軽くなった。


次の日、会社に出勤すると、いつもと状況が違っていた。
佐藤さんが突然辞めていたのだ。
それなのに、みんな彼女が最初からいなかったかのように普通に仕事をしている。
< 68 / 124 >

この作品をシェア

pagetop