甘い媚薬はPoison
「朝比奈から愛梨ちゃんの居場所知らないかって月曜の夜に連絡あってさ、僕も会社に戻ってあいつと一緒に愛梨ちゃん探したんだ」
「そうだったんですね。迷惑かけちゃってすみません」
杉山さんも仕事忙しくて疲れてたのに大変だっただろう。
「愛梨ちゃんが悪かった訳じゃないでしょ?でも、見つかって良かったよ。愛梨ちゃんの席にバッグは置いてあったから、会社にはまだいるって思ってトイレとか会議室とか他のフロアも探して……それでも見つからなくて、警察に捜索願出そうかと思ったんだけど、不意に蓮がフックにかかってる倉庫の鍵をじっと見てね。『倉庫にいるかも』って言い出して……。多分、第六感が働いたんだろうな。それで倉庫に向かったら愛梨ちゃんが壁にもたれ掛かって眠っててさ。無事で本当に良かったよ」
杉山さんの説明に私は眉根を寄せた。
ドアに挿してた鍵がフックに掛けられてた?
一体誰が?警備員さんかな?
でも……私が閉じ込められたのって九時過ぎだったはず。
よくよく考えてみたら警備員さんってそんな時間に見回りしないよね?
「一体誰が鍵を閉めたんだろう?」
思ったことがそのまま声になる。
杉山さんはそんな私の疑問に答えてくれた。
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