甘い媚薬はPoison
「す、杉山さん?どうしちゃったんですか?」
ひょっとして……媚薬でおかしくなっちゃった?
媚薬って好きな人にだけ効くんじゃないの?
「……甘い香りに誘われる」
杉山さんはそう囁くと、視線を私に戻す。
普段草食系のはずの彼の目が、鋭く光って私を捕らえた。
これは……絶対にマズイ。
「杉山さん……?あの……酔ってます?」
恐る恐る杉山さんに声をかけるが、彼は質問には答えず、私をジーッと見つめてくる。
「その唇。美味しそうだ」
今度は私の唇を指でゆっくりなぞってきて、ゾゾッと寒気がした。
待って!
まさか……キスする気?
「杉山さん……?」
正気に戻って!
パニックになりながら上目遣いに杉山さんを見た。
だが、彼は私の顎をつかんでクイッと持ち上げる。
「愛梨ちゃんてかわいいよね」
「す、杉山さん、ダメですよ!」
両手で杉山さんの胸を押して抵抗するが、すぐに両手を押さえられた。
「これでもう逃げられないよ」
杉山さんがどこか残忍な笑みを浮かべる。
完全に人格が変わってるんですけど……。
だ、誰か助けて!
ゴクッと息を飲み、私は青ざめた。
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