甘い媚薬はPoison
杉山さんにそう声をかけると、蓮くんは私の方を向き、顔を近づけるとクンと匂いをかぐ。
「蓮くん?」
蓮くんの行動に戸惑っていると、彼がギロッと私を睨みつけて来た。
「お前、またあの香水使っただろう?」
あの香水?
彼の口から発せられた言葉に私の身体は強張った。
どうして香水のことを知ってるの?
しかも、『また』って……前に使ったことも知っている。
「……あの香水って?よくわからないんだけど」
激しく動揺しながらシラを切る私に、彼は衝撃的な話をする。
「俺も昔お前のじいさんから媚薬の香水をもらった。『レン』って名前の香水で、世界にひとつだけしかない香水だって言われて……」
う……そ。
蓮くんも私と同じような香水をおじいちゃんからもらったって言うの?
「媚薬効果のことは忘れててつけてみたら、女がしつこく寄ってきて、その原因が香水だってわかってからは中身を全部捨てたけどな。その香水もお前がつけてるのと似た薔薇の甘い香りがした」
「……私にはなんのことかよくわからない」
蓮くんから視線を逸らしながら惚けるが、声が震えてしまう。
……なにがどうなったのかよくわからない。
杉山さんには媚薬が効いた。
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