甘い媚薬はPoison
でも、蓮くんには効いてない。
どうして?
前回は効いてたはずなのに、どうして今回は効かないの?
私の思考を読んだかのように、蓮くんは私の疑問に答える。
「ひとつ言っておくが、あの香水、俺には効かないから」
「え?」
効かない?
驚きで目を見開くと、蓮くんを見つめてもっと詳しい説明を求めた。
「あれはもう二度と使うな。さっきみたいに困ったことになる」
頭が混乱していた。
だったら、前回効いたのはなんなの?
媚薬の効果は一回だけとか?
ああ~、わからない。
でも……ひとつだけはっきりしている。
どう足掻いても蓮くんは私を好きならない。
永遠に……。
そう認めてしまうと、悲しくて……つらくて……涙腺が一気に崩壊した。
やっぱり諦めるしかないんだ。
私が大人になっても、彼は私を好きにならない。
そもそも私はいい女じゃないもんね。
仕事ができるわけでもない。なんの魅力もない女。
お洒落だって、勉強だって、仕事だって……自分なりに頑張ってきた。
でも、全然足りなかった。
ううん、蓮くんにとっては対象外だったんだよね。
私は彼に女として見られていない。
大粒の涙がポタポタと床に溢れ落ちる。
「ごめんなさい。帰る……」
涙を拭いながら謝罪の言葉を口にして、蓮くんと壁の間をすり抜けて帰ろうとすると、彼にガシッと腕を捕まれた。
「待てよ。まだ話は終わってない」
「……お説教ならもうたくさん!」
私は泣き叫びながら蓮くんの手を振り払おうとするが、彼は離してくれない。
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