未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
ただ、インターフェロンの副作用で味覚障害が出るそうで、食べ物が美味しく感じられないとぼやいていた。
普通の慢性骨髄性白血病患者は一般的にインターフェロン投与を続ければ急性転化が3、4年先まで延びるようで。
それまでに、ドナーが見つかって骨髄移植が出来ればかなりの確率で完治する。
今の所、咲雪にはまだドナーが見つかっていない。
血液型が違う一座不一致や外国という条件で捜しても一人の候補者も見つかっていない。
だから今は少しでも長く慢性期が続いてくれることを願うことしか出来ない。
俺はピアノの前から立ち上がり、自分の部屋の窓際に歩いていった。
冷え切ったガラスから伝わる冷気も窓の外の景色も冬らしくなってきている。
いったいいつになったらドナーが見つかるんだろう。
俺が吐き出したため息で白く濁ったガラス越しには、何の未来も見えなかった。
.