未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
人の話す声が聞こえる。
聞き覚えのある声だけど……。
でも誰か思い出せない。
それと消毒液の匂いがする。
あたしはどこにいるんだろ?
なんでこんなに体がだるいんだろ?
ゆっくりと目を開ける。
焦点の定まらないぼんやりした視界の中に白い服を着た人がいるのが分かった。
誰かな?
だんだんと視界がはっきりしてきて、それがあたしの担当医の堤先生だということがわかった。
「咲雪さん、私がわかりますか?」
頷くと、彼はほっとしたように笑った。
「良かった。意識は大丈夫ですね」
「堤先生……痛っ」
体を起こそうとしたが激しい頭痛に襲われて再びベッドに倒れ込んだ。
堤先生が優しく諫める。
「無理をしちゃいけないよ」
「……ここは……病院ですか?」
あたしはまだ、今ひとつ自分の状況を把握できていない。
そんなあたしに、堤先生はあたしの身に起こったことを説明してくれた。