未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
昔の無菌室と言えば、一つの病室を丸ごと無菌にして、中に入る為には帽子とマスクと白衣を着け、殺菌光線を浴びなければならなかったというが。
今の無菌室はベッドの上のスペースだけなので、普通の入院患者の見舞いと同じようにベッドのすぐそばまで行って話しをすることが出来る。
咲雪は学校から運ばれた時のまんまの格好で、点滴を受けながら虚ろな表情で天井を見上げていたが。
俺らの姿を認めると微かに笑顔を見せた。
「お兄ちゃん……お母さん……」
「咲雪、着替えとその他頼まれてたもの持って来たぞ」
「うん。ありがと」
俺はベッドのそばのパイプ椅子に腰を下ろした。
「どうだ?体の調子は」
「うん。今は結構いいみたい。
……お父さんは?」
「咲雪がここに移ったあと、まだ仕事が残ってるからって中学校に戻った。
ま、父さんも3年生の学年主任となると大変だよな」