未来(あした)が来るなら、ずっとそばで笑ってて。
「咲雪、本当にいいのか?もう、悠聖に会えなくていいのか?」
いいわけがない。
頭では納得しているつもりでも、心はそう容易には認めてくれないものだ。
俺が確認すると、案の定、咲雪は今にも泣き出しそうな顔で、口をへの字に固く結んだ。
しかし、それでも彼女ははっきりと頷く。
「そうか」と、俺は咲雪にスマホを返した。
「辛い決定をしたな。自分の病気のこと、あくまで悠聖に隠し通すか……」
俺は大きくため息をついた。
咲雪の気持ちは痛いほどよくわかる。
咲雪は、それほどまでに悠聖の幸せを強く願っているんだ。
自分の幸せではなく悠聖の幸せを。
「でも咲雪。今、悠君と別れてしまったら、あんたが元気になって退院しても、もう、悠君とは今まで通りの関係には戻れないのよ?それでもいいの?」
と、母が咲雪に念を押す。